オーストラリアからタイのバンコクへ飛び、そしてインドのムンバイへ飛び、夜行列車に10時間乗ってついにゴアに到着しました。
今回のインドの旅の目的は「3年前に会ったインド在住の日本人彫り師を見つけ出し、タトゥーの技術を教えてもらうこと」です。
店の名前も連絡先も何も知らないし、タトゥーど素人の状態でいきなり飛び込んで「タトゥー教えて下さい」これはマジ怒られるかもしれません。
そもそも「その人」はもうゴアにいないかもしれません。
オーストラリアでインド行きを決めてからこの日まで何度も「やっぱりやめとこうかな」と思いましたが…。
もう私!
到着しちゃってます!
会いに行くしかない!
前回▼
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3年前の「その人」との出会い
ホスト君
3年前にも訪れたゴアのアンジュナビーチ。
5日間滞在したのですが初日にホスト君という同い年のイケメンと知り合っています。
- [ホスト君]
当時私とホスト君は26歳。海外生活をしはじめたばかりでした。
彼とは次の目的地への移動もともにするくらい仲良くなり、その親密度はダブルベッドで一緒に寝てしまうほど。
さらにその後カナダのトロントでも再会しています。
そこまで仲良くなったきっかけは同い年、ロン毛、そしてお互いタトゥーがあったという共通点の多さでした。
小さいタトゥーがいろんな所にポツポツとある私の体に対して、ホスト君のタトゥーは背中一面龍の和彫り。
言葉を失うほど美しく、震えるほどビビった記憶があります。
そんな彼に教えてもらったのが今私が探している「その人」だったのです。
ホリコさん
3年前のアンジュナでの話
店の入口に「刺青」って書いてあったから気になって入ってみたら日本人だった
もうすぐアンジュナ出るし、これから挨拶しに行くんだけど一緒に行こうよ
ということでホスト君と一緒にそのタトゥースタジオへ行ってみました。
ホスト君に連れられて小さな6畳ほどのタトゥースタジオに入ります。
どお?どお?
色抜けてない⁉︎
- [ホリコさん]
え?この人が?彫り師?
彼女はインド在住の彫り師ホリコさん。
スーパーでレジ打ちしてそうな、小学校の授業参観に来てそうな、ドラマを見て号泣してそうな、40歳前後のどこにでもいそうな普通の女の人でした。
そうです…!
あんたたちは旅してカッケーね
「インドで小さなタトゥースタジオをひとりでやっている日本人」
と聞いただけでかなりぶっ飛んだ人だと思っていましたが、予想に反して気さくなめちゃめちゃ普通の人で、しかも女性だったことに驚きました。
うちでやってく?
いま雨季でお店暇だからさ
ということで私もホリコさんに小さなタトゥーをふくらはぎのあたりに入れてもらったのです。
私のタトゥーが終わったあと「もう今日は店を閉める」と言ってバイクに乗って帰ったホリコさん。
「気さくで良い人だったね」とお店の前で話す私とホスト君。
これが3年前のホリコさんとの出会いです。
なぜわざわざホリコさんに会いに行くのか?
私はオーストラリアでひょんなことから「タトゥーを彫る側」に興味を持ち、すぐに道具を揃えて練習をスタートしました。

豚の皮やフルーツに毎日彫って、自分の皮膚や練習台になってくれる優しい友達の体にも彫っていましたが、ネットの情報だけでは細かい技術の知識は得られませんでした。
しかしその情熱は加熱する一方なので誰かに教えてもらおうと思い、SNS経由で数人の彫り師に連絡してみましたが、年齢を理由にすべて断られてしまいました。
独学では技術が向上する気がしなかったので、どうにかならないかなと考えた時に思い出したのが何年か前に会ったホリコさんだったのです。
彼女は30歳を過ぎてからタトゥーマシンを握ったと言っていたことだけを覚えていたので「あの人なら理解がある!」と思い、インド行きを決めたのでした。
そしてあれから3年後の今!
私は再びアンジュナへやって来ました!
再びホリコさんの店の前にいます!

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無駄足
連絡先も知らないし店の名前も覚えていません。
ホームページもおそらくないかと思うので連絡をとる手段がありませんでした。
しかし場所は行けば分かるし「多分まだやってるっしょ」とこの旅が無駄になるはずはないと甘く考えていたのです。
しかし現実は前あった看板も無いし、シャッターも閉まっています。
3年も経てば店がなくなることもあるし、人も変わるのです。
ホリコさんの店があった場所で呆然と立ち尽くす私。
ザァァァァー!
さらにその瞬間大雨が降ってきました。
3年前にここに来たのは10月で雨季の終わりごろ。
ちらほら旅行者もいて夜はなかなか盛り上がっていました。
しかし今回は8月半ばで雨季ど真ん中です。
前は開いていた付近の店もやっていないし、まず人が歩いていません。
もしホリコさんに会えなかったらのんびりゴアを楽しもうと考えていたのですが、雨季が直撃していて今回のアンジュナにはまったく活気がありません。
つまり私はインドのなんでもない田舎で雨に打たれるためだけに苦労して移動してきたことになります。
ザァァァァー!
一向に止む気配を見せない雨。
ため息をつき雨宿りをしながらこれからどうしようかと考えます。

ムンバイからの列車内で知り合ったソフィー。

彼女に1度ゴアを一緒に見てまわらないかと誘われていたので、合流することを思い付きiPhoneを開いたその時。
近くの小さな商店のおばちゃんが私の所へやってきました。
日本人?こんな所で何してんの?
連絡先知らなかったから、まさか無くなってるとは知らずに来ちゃったんですよ
でもスタジオ自体は閉まってないよ?
ホリコでしょ?
最近はあんまり見ないけど普段はやってる
先週もお客さんいっぱい入ってたし
朗報!朗報です!
おばちゃんいわくお店はやってるとのことなのでホリコさんに電話してもらいました。
日本人が来てるよ!かわるね
おぉぉぉぉ〜!
これはドキドキです!
ついさっきまで目的を失ってへこんでいたので、感情を揺さぶられすぎてうまく話せるか心配!
もしもし!
覚えていらっしゃらないと思いますが、3年くらい前に足にタトゥーをやってもらったシンです!
またアンジュナに来たのでお会いできないかなと思いまして…
シン君⁉︎超覚えてるよ!
バックパッカーのシンだよね⁉︎
そうなんだ〜3年も経ったのか〜
会おうよ!会おうよ!
感動です!
私のことを覚えてくれています!
昼の12時に店に来て!
電話ありがとね〜!
雨季は予約が入らない限り店を閉めているとのことで、ここ数日間は家でじっとしていたそうです。
電話をかけてくれたおばちゃんにお礼を告げて宿へ戻りました。
[次の日]
プップップ〜
変な音のバイクのクラクション音。
あはは!シン君じゃん!
わざわざありがとうね〜
お久しぶりです!
わ〜!ホリコさんだ!
会えて良かった〜!
会えた感動により、まるで飼い主が帰ってきた時の室内犬のような私。
尻尾があったら残像で5本に見えるくらいのスピードで振っていたでしょう。
どうしたのぉ?
とりあえず店開けるね
私はオーストラリアからこのインドの田舎に来るだけで精一杯でした。
しかしメインイベントはここからなのです!
緊張しています!
私はめちゃめちゃ緊張しています!
これから「タトゥーを教えて下さい」とお願いしなければならないのです!
好きな子に想いを伝える時でもここまで緊張しないでしょう!
お店が開いて、イスに座りタバコに火をつけるホリコさん。

で?今回もまたインドを旅してんの?
じじじ…じつは!
ヤバいです。
緊張しすぎてなかなか言い出せないのです。
しかしここに来た目的をしっかりと伝えないとせっかくゴアまで来たのが無駄足になってしまいます。
体育館裏に呼び出して告白しにきた高校生みたいじゃん!
甘酸っぺー!あははは!
キミは面白いなぁ〜!
今回は旅行というよりは…
ホリコさんに会うためだけにインドに来ました!
…マジで?もしかして…
え?ほんとに?
なんやこれ?
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