ついにオーストラリアのワーホリが始まりました。
到着した町はシドニーです。
残金400ドルで海外生活を始めるというなんとも無謀な挑戦。
初日に110ドルも使い、早くも残金は300ドルを切りました。
しかし2日目にして急展開。
あっさりと日本食レストランの仕事をゲットしてしまいました。
なんとここまで入国してから24時間も経っていません。
そしてシドニー3日目お仕事開始!
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90%日本語環境
私にとって初めてのジャパレス(ジャパニーズレストラン)での仕事です。
[シドニー到着3日目]
16時からということで、これからの私の職場「Restaurant Sakura-咲良レストラン」へ向かいました。
シンです
今日からお世話になります
よろしくお願いします!
日本人環境だからこそ使えるこの「よろしく」という言葉は英語には無い表現で非常に便利です。
初日のお店のメンバーを紹介します。
【ホールスタッフ】
【キッチンスタッフ】
この5人+私の6人体制。
本来は5人で回す店なのですが、私が新人であるためひとり多くなっているようです。
料理経験があるって聞いてるから期待してるよ
経験あるとか言って全然ダメだったりして
ひっひっひ
シンさんは何年も経験していらっしゃるから大丈夫よ!
ねぇ〜シンさん!
うふふふふふ!
俺和食オタクなんだよ!
いつか日本の和食店で働きたいんだ
あとで色々教えてよ!
一応私が先に入ったので教えていきますね
一応先輩なんで私が
濃い!キャラが!
他にも数名のスタッフが在籍しているようですが、この日はこの5人と共に咲良レストランでの初仕事が始まりました。
プライドが高すぎる女
私は日本で6年くらい飲食店で働いた経験があります。
またカナダでのワーホリでも『尋常じゃない忙しさのバー』で丸々1年働いています。
洗い物、仕込み
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サラダ、盛り付け、その他軽作業
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肉、焼き物揚げ物
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魚、メイン料理
調理場で働いたことがある人なら分かるかと思います。
だいたいの飲食店ではこのような順番で難易度や責任が高まり、また同じように実力で配置されることが多いです。
咲良レストランのような小さい店では洗い物はみんなでやるとして、ワーホリのようないつ辞めるかも分からないような人間にはそこまで重要な作業は任せられないのではないかと思います。
しかし私は経験者として扱われ、本来なら下っ端が最初にやるような仕事(サラダ係や盛り付け係など)をすっ飛ばしてジェット君のポジション(火を使う所)を任されたのです。
[この日のポジション]
エイキチさん▶︎寿司、魚
ジェット君▶︎揚げ、焼き、肉
おしんぽこ▶︎ジェット君の横でお勉強
みうらちゃん▶︎サラダ、盛り付け
基本的には肉の仕込みしながらオーダーをこなしていく感じになるからよろしくね!
ジェットに寿司のポジション覚えてもらって、肉の所はシン君に任せたいんだよ
そしたら俺も休める…(泣)
週7で働くエイキチさんの休みの日を作るべく、ジェット君の寿司場トレーニングを行うようです。
そのために彼の後釜を、ということで私が選ばれたのです。
しかし!
プライドのカタマリであるみうらちゃんにとってどうもそれが気に食わないようです。
シンさんは新人だし盛り付けとか唐揚げ用のレモンの切り方を教えてったほうがいいので私が教えます!
たった3日だけ先輩でほぼ同期ともいえるみうらちゃん。
自分よりあとから入った私に先を越されたような感覚になったのか、とんでもない風速の先輩風を吹かせてきました。
とにかく教えたい欲が強すぎる彼女は『レモンの切り方』というできない人を探すほうが難しいくらい簡単なことをゆっくりと説明しはじめたのです。
しかも彼女は仕事としての調理は素人なのでしょう。
めちゃめちゃ遅いし大きさもバラバラ。
潰すように押して切っていてレモン汁が出まくりです。
「はあ!? 3日前まで包丁も触ったことなかったようなド素人が偉そうこと言ってんじゃねえぞ!」
などと昔の板前のようなことは言えない優しいエイキチさんは非常に困っておられます。
そうかもしれないけど…
とりあえずシン君はジェットについてもらって、みうらちゃんはいつも通りでお願い
シンさんあとでご飯のよそい方教えるのでちゃんとメモしてくださいね?
私は日本で仕事をしはじめる時に料理が好きだったので飲食業を選びました。
ですがワーホリでジャパレスで働いている人たちは英語も苦手で『ジャパレスぐらいしか仕事が無い』から仕方なくやっている人がほとんど。
まず仕事への姿勢が違うし、そもそもの技術、知識、そしてタフさが違うのです。
いつもはアホでビビりでしょうもない人間の形をしたただのタンパク質の塊であるこの私。
しかし調理場での仕事となればそこらへんの未経験者とは雲泥の差のパフォーマンスを見せることができるはずです。
しかしジャパレスであろうと自分が経験者であろうと咲良レストランでは私はまぎれもない新人なので、調子に乗った行動や発言は慎んで指導や教育をすべて受け入れるべきなのです。
でもね!
みうらちゃんから教わることはマジで何も無いくらい彼女は素人なんですよ!
結局ジェット君のポジションを学びつつ、横からちょいちょい入ってくるみうらちゃんの仕事も覚えていく羽目になりました。
しかしこれは笑い話では済まないところまで発展してしまったのです。
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玉ねぎバトル
どんな店でもやっぱりディナータイムは忙しいものです。
19時ごろ、咲良レストランはピークタイムを迎えてほぼ満席になります。
こっち玉ねぎのスライスなくなっちゃった!
シン君悪いけど急ぎで1玉だけお願い!
極薄で!
分かりま…
なんと1日で一番忙しい時間帯にも関わらず、自分の仕事はそっちのけで「玉ねぎのスライスのやり方を教えるから見てて」と言ってきたのです!
これまでの人生で何万個もの玉ねぎをスライスしてきたこの私に!
案の定めちゃめちゃ遅いし、サラダや前菜のオーダーがたまってきています。
お刺身まだ!?
お客さん遅いって言ってるよ!あとみうらちゃんサラダ急いで!
もう刺身出るから!刺し身は玉ねぎスライス添えるだけなんだよ!
すかし、エイキチさん、そしてお客さんに完全に迷惑がかかっているので、私は空気を読んで彼女が玉ねぎの皮を剥く間に違う玉ねぎをサッとスライスしてエイキチさんに渡してしまいした。
まさか私のこの行動が彼女のプライドを大きく傷つけることになろうとは…。
料理対決勃発!
忙しさも落ち着き、ラストオーダーの時間が近づいてきました。
シン君せっかくだしまかない(従業員食)作ってよ
俺とやすえさんの分はいらないからすかし君とジェットとみうらちゃんとシン君の4人分かな!お願いね!
出ました。
飲食店あるある「新人の実力測りのまかない司令」です。
しかし私はこれまで何百回もまかないを作ってきたので要領は心得ているつもりです。
新鮮で高原価な食材には手を付けず、余り物や古くなってきた食材を使う。
なおかつ業務に支障が出ないようにササっと手早く美味しい食事を人数分ピッタリに。
これが世の飲食店のまかないルールです。
何か使って欲しい食材とか先にはかせたい食材はありますか?
じゃあイカが2日目だからイカ使っちゃおう
野菜はだいたいなんでも使ってOKだけど、玉ねぎが来週まで納品ないから使わないでくれるかな?
ということで私は『イカ焼きそば』を作ることにしました。
しかしここでもみうらちゃんが私に敵意を示しとんでもないことを言い出したのです。
私もまかない作ります!
心配しないでください!
なんということでしょう。
玉ねぎ勝負でプライドを傷つけられたみうらちゃんとのまかない料理対決が勃発してしまったのです!
4人分のまかないが必要なのですが、みうらちゃんもまかないを作るということで私は2人前の食材を用意しました。
そしてこの店にある調味料を確認して、できる限り日本のソースに近づけて完成。
まだ営業中ということもありすぐには食べられない可能性があるので、あとで電子レンジで温めて食べられるようにと考えての焼きそばです。
こういう時に汁多めの丼物は最悪なんですが…
これはヤバいです。
早くも結果が見えています。
業務終了して食べるころには米が汁を吸いまくってべっちょべちょになっていることでしょう。
シンさんやってもらっていいですかぁ⁉︎
もうサラダ覚えましたよね⁉︎
いるんですこのタイプ。自分がやっている仕事の重要度がまったく把握できていない人です。最優先はお客さんの注文です。
それより大事なことなどないのに「今手が離せないから」と優先順位が低すぎることをバカみたいに真剣な顔でやります。
このタイプに限って自分が客として店に行くと「遅い!」とクレームを出しがちなんです。
ラストオーダーも終わり、ほとんどのお客さんもお会計を済ませ、キッチンでは片付け、掃除、明日の準備が始まっています。
しかし彼女はいまだにゆっくりと玉ねぎを切ったりスマホで親子丼のレシピを真剣に調べており、片付けと掃除はジェットに任せっきりです。
わたしまかない作ってるから!
掃除できないけどよろしくね?
それ終わらないとそっち片付けられないから
みんなのためにご飯作ってるんだよ!?
迷惑しかかけてないことに彼女は気付いていないのでしょうか⁉︎
そしてすべてのお客さんが帰って店の掃除もほぼ終わったころ、ついにみうらちゃんの親子丼ができました。
実食
シン君やるじゃん!
あら!美味しいじゃない!
なんとか気に入ってもらって一安心。
そしてみうらちゃんの親子丼ですが…
なぜか5人前も作ってしまっています。
わたし家でもいつも多めに作っちゃうんですよね~
余ったら明日も食べれば良いし!
食材を無駄にしないように人数分キッチリ作るのが常識です。
そして味ですが、マズイのひとこと。
時間が経ってご飯が親子丼のダシを吸ってしまい、モッサモサのべっちょべちょになる感じ分かりますか?
さらにスマホで長々と何を調べていたのか分かりませんが、味もほぼ無くただの柔らかいご飯の上に大量の味無しチキンと卵が乗っているだけなのです。
料理対決の勝敗は言うまでもありません。
しかし優しいみんなは
「なんやこれ!クソまずいな!」
「食材の無駄使い!お前の人件費も無駄使い!」
などとは言わず無言で少しずつ親子丼を口に運びます。
しかしすかしはそういうことができない思ったことを全部言う男。
ねぇこれ玉ねぎ生なんだけど…
卵カチカチだね?どんだけ煮たらこんなに卵固くなるの?
ていうかこれ作るためになんであんなに時間かけてたんだ
俺親子丼いらな~い!
じゃあ帰るね~みんなお疲れ~
すかしが本当のことを言ったあと、彼女はまったく喋らなくなってしまったのです。
「店の居心地が悪いから辞める」とまで発言し、最終的には泣き出してしまいました。
親子丼美味しかったよ!
仕事もよく頑張ってるよ!
信じられないほど優しいエイキチさん。
私は声を大にして言いたい!
初日からややこしい咲良レストランですが、次の日もシフトに入っているので頑張ります。
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