シドニーでの半年間の生活を経て、セカンドビザを取得すべく
シドニー
▼
ゴールドコースト
▼
ブリスベン
と移動してきた私とシズちゃん。
これから我々が向かうのはあの悪名高きファームの町、バンダバーグです。
なんでわざわざそんな所に行くのかって?
なんで評判が悪いのか調査しに行ってるんですよ。
前回▼
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バンダバーグ到着
3日間とても楽しい思いをしたブリスベン。
綺麗で安くてスタッフが優しいサイコーの宿を早朝にチェックアウトしてこれからブリスベンを出ます。
行先はバンダバーグ。
Queens Land Railという電車に乗ります。
料金は58ドルです。
約4時間でバンダバーグ駅に到着。
最初の印象は
これからセカンドビザのために畑仕事をしなければいけないので田舎なのは当たり前ですが、これまで都市部のみを移動してきたのではじめて見るオーストラリアの田舎街に感動しました。
時間は昼12時。
ゴールドコーストにいる時にネットから日系の求人に応募して、そこで連絡を取った人が迎えに来てくれるそうです。
12時前には車で来てくれるとのことですが…。
忘れているのでしょうか。
それともただ単純に遅れているだけなのでしょうか。
なんにせよ宿泊先の住所すら教えてもらっていない状態なので、身動きが取れないのです。
メールを送っても返事は無いし電話も出てくれません。
不安になってきましたが、すでにバンダバーグに着いているので引き返すことは出来ないのです。
それしかないよね
約束していた12時から早くも1時間が経過しました。
もう来ないだろうと思い、周辺のバックパッカーホステルを探します。
バンダバーグの評判の悪さは有名ですが、それでもファームの聖地と呼ばれるほどワーホリの民からは大人気。
少し調べてみると田舎街とは思えないほど多くのバックパッカーホステルが出てきました。
こういうホステルはワーキングホステルとも呼ばれています。
ホステルの掲示板に求人情報がビッシリ貼ってあったり、ホステルのスタッフが仕事を斡旋してくれたりと、泊まっているだけで仕事が舞い込んでくるのです。
連絡も取れないようなわけわからん日本人を頼りにするより、そういう場所で仕事を探そうと決めてこれ以上待つのをやめた我々。
とりあえず駅から近い宿をネットで2泊予約し、宿へ向かって歩きはじめたその時!
クラクションがプッと一回鳴ったあと!
泥まみれのトヨタの四駆の車が!
我々の前に立ちはだかります!
そして丸坊主の日本人男が笑顔で降りてきました!
まさか…
とは思いましたがそのまさか。
- [口ひげチャラ坊主]
シンさんとシズさんですか?
汚い車で悪いっすけど乗っちゃってください!
すんません!
車高上げちゃってるんで乗りにくいっすけど乗っちゃってください!
四駆なんすよ!
マフラーいじってるんでうるさいかもっすけど!
うぃ〜っす!
世の中で一番好かんタイプのやつが来た!
推定28歳。
おそらく私と同い年くらいでしょう。
口ひげだけを生やし、金色のピアスとネックレス。
チャラいという言葉がバッチリ当てはまるようなこの男が我々が応募した先の人です。
やっぱあれっすか?
知らない土地は不安っすか?
大丈夫っす安心してください!
すぐ慣れるっす!うぃっす!
俺はもう1年以上いるんで余裕っす!
うぃーっす!
メールもめっちゃ送ってもらってますね!
着信に気付いていながらこちらに連絡もせず平気な顔して1時間も遅れてきた口ひげチャラ坊主。
しかもまったく悪びれた様子もありません。
オーストラリアタイムっすよ!
ここ日本じゃないんで!うぃっす!
このくらい慣れてかないと今後しんどいっすよ〜⁉︎
じゃあ乗ってください!
車高たかいっすけど!
うぃっす!
おそらく社会人としてどうのこうのの前に、人として何かが欠落しています。
結局クチヒゲに言いくるめられた我々は予約した宿をキャンセルし、クチヒゲのドン・キホーテの駐車場に停まってそうなダサい改造を施された自慢の四駆に乗って、彼が運営するシェアハウスに移動したのでした。
ボロハウスと労働システム
駅から車で約15分。
歩いて行くのはかなり厳しい距離で、周辺には家以外何もありません。
そして到着。
ボロ過ぎる一軒家に案内されました。

ハウスメイト3人はすべて日本人。
クチヒゲの他にガチャピンとタカギがいます。
これから一緒に住むハウスの住人
- [クチヒゲ]
- [ガチャピン]
- [タカギ]
みんな新しいふたりきたよ!
うふふふ
はじめまして
みなさん個性がすごいのですが悪い感じはしません。
それにみんな仲よさそうです。
寝泊まりする部屋を案内されたあと、このハウスと仕事の料金システムを説明してもらいました。
【仕事内容】
・主な仕事はパプリカとミニトマトのピッキング(収穫)
・完全歩合制
・たまに運が良ければ時給の仕事が入る
【給料・料金システム】
・ふたり部屋で家賃週ひとり120ドルの合計240ドル
・ファームが遠いから車代1日ひとり6ドル
・その他買い物などで車が必要な場合片道2ドル
1週間ごとにこっちで計算して振り込みます!
うぃっす!
なるほど分かりやすいっちゃ分かりやすい。
つまり週5日仕事をしたとして
車代6ドル×5日×2人=60ドル
それに家賃の240ドルを足して合計300ドルが1週間の最低限かかる生活コストで、1週間の稼ぎからこの300ドルを引いたものが給料として支払われるようです。
よくよく考えたら車代1日6ドルというものは高すぎるんじゃないかと思いましたが、シドニーで住んでいたかぶれハウスは家賃だけで2人で300ドル、途中で引っ越したパディントンハウスはそれ以上だったので、「車代を含めて300ドルは安いのではないか?」と勘違いしていました。
理解した上で、幼稚で粗末な手作り感満載の契約書とやらにサインをしてボンド(敷金のようなもの)2ヶ月分600ドルを支払い、口ひげ坊主のオンボロシェアハウスでの生活がスタートしました。
おっ?
早くも明日から仕事のようです。
と!
思いきや!
私とシズちゃんは耳を疑います!
とりあえず明日から
4日間は仕事無いんでゆっくりしてて下さい!
以上っす!
ウィーっす!
はあ〜〜!!??
4日間仕事が無いだと⁉︎
天気は連日めちゃくちゃいい!
雲ひとつ無い快晴ですよ!
あと俺らだけじゃなくてほかのチームもいるんで…
人数制限もあるし!
はやくもバンダバーグがクソファームだと言われる所以が垣間見えた初日でした。

[次の日の早朝]
私は何かの物音で目を冷ましました。
時間は4:30ごろで外はまだ真っ暗ですが、外からクチヒゲやガチャピンの声がうっすら聞こえてきます。
私はそーっと窓を開けて外の状況を確認してみました。
ボッボッボッボッボッボッボッボッ…
(車のアイドリング音)
準備OK?(コソコソ)
じゃあ出すよ?
待って軍手忘れた!
(コソコソ)今日ピッキングだよね?
急いで急いで!(コソコソ)
こ…これは…⁉︎
4日間仕事が無いと言いながら、ガチャピンとタカギそしてクチヒゲの3人は仕事へ行っているではありませんか!?
これって多分…ただの家賃要因にされてるぞ!
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劣悪なのは街ではなく人である

昼12時ごろ、こっそり仕事に行った3人が帰ってきました。
うぃっす!
ちょっと話あるから
うふふふ
なにその感じ⁉︎
露骨にバツが悪い感じを出されるほうがいやですねぇ!
ふたりはこっちに到着したばっかりでお疲れだろうし4日くらいは休んでもらって、それからはガンガン行きましょうよ!
というかブリスベンから電車乗ったくらいで疲れるわけないっす
管理職ってやつっす!
4日後からは仕事あるんで頑張りましょう!
▼どうやらここのファームのシステムはこんな感じ

つまりこの口ひげチャラ坊主は「マネージャー気取りのセコ坊主」だったのです。
居酒屋のバイトでよくいますよね。
(?)
などと発言するバイトのやつ。
それ相応の責任があり、それ相応の手当てをもらい、それ相応の能力が伴っているのであればもちろん優秀なのでしょう。しかしこのタイプはうまく使われているだけの勘違い男なだけです。
そしてその男の所に連絡してしまった我々はまんまと『部屋埋め係の家賃払い要員』になってしまったということ。
我々は行く前からバンダバーグでのファームジョブに対してネガティブなイメージを持っていました。
しかしブリスベンでヨウイェンという台湾人の男と知り合い、考えは180度変わり前向きになったばかりだったのです。
しかしバンダバーグ2日目、そこからまた180度ぐるっと回って元どおり。
やっぱりバンダバーグはクソじゃねぇか!
ということが分かりました。
いやむしろバンダバーグという街は悪くない!
ひどいのはここに集まる人間である!
しかしそもそも我々は「なぜバンダバーグはこれほどまでに評判が悪いのか?」
を調査しに来たようなものなので、とりあえず深く考えずに流れに任せてみることにしました。
車持ちが正義

バンダバーグに到着して4日間。
私とシズちゃんは毎日置いてけぼりをくらいながら、同じハウスに住むクチヒゲとガチャピンとタカギは毎日早朝から仕事行っているようです。
3日目からはコソコソせずにバタバタと物音を立てながら堂々と出勤しています。
やはり初日の『コソコソ』は後ろめたさからでしょう。
しかし生活をしてみて彼らの人間性自体はそこまで悪いとは思えません。
親切だし、掃除もするし、社交的だし…。
ただ家賃要員にされている事実と、何かを隠しているような態度がすごく引っかかっているのです。
なぜ仕事に行けないのか?
いろいろと考えてみた結果、答えが見えてきました。
まず大前提で車が必要。
都市部と違い、バンダバーグはバスなどあってないようなもの。
車が無いと仕事にも行けないし、買い物すらままなりません。
オーストラリアの大手スーパー「Woolworths」に行くだけで、クチヒゲにお願いして時間を予約して片道2ドルを請求されなければならないのです。
しかし車を所有していない我々はそうするほかにこの街で生き残る道はありません。
そして仕事に行けないのは車に乗れる人数が原因しているのではないかと思いました。
ハウスにいる時にみんなが話している内容に聞き耳を立てみると、クチヒゲはどうやら毎朝誰かをふたり迎えに行っているようです。
クチヒゲのチャラ四駆は運転手含め5人乗り。
つまり彼がしきりに言っている人数制限とは車の定員のことだったのです。
仕事を開始する前からファームジョブの闇をだいぶ見たような気がします。
そしてバンダバーグ5日目。
ついに人生初のファームジョブに参戦です!
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