オーストラリア

【旅行記165】バンダバーグのファームの闇【オーストラリア21】

彼女のシズちゃんとオーストラリアでワーホリ中。

[シズちゃん]

オーストラリアのセカンドビザを取得すべく
悪名高きファームの町・クイーンズランド州のバンダバーグに到着しました。

気合は十分。
やる気満々で飛び込んだ先で初日に言い渡されたのは

クチヒゲ
クチヒゲ
天気悪いんで
明日から4日間休みで

毎日雲ひとつない青空の中、我々だけ休まされ他のメンバーは仕事に行くと言う事態が発生。

車持ちのハウス管理者が仕事をエサに家賃要員を集めている所へまんまと引っかかっていた我々。

果たして仕事はもらえるのでしょうか。
そしてセカンドビザを取る事は出来るのでしょうか…。

前回▼

【旅行記164】劣悪なのは街ではなく人である|バンダバーグ【オーストラリア20】シドニーでの半年間の生活を経て、セカンドビザを取得すべく シドニー ▼ ゴールドコースト ▼ ブリスベン と移動してきた私と...

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CONTENTS

プランティング(苗植えの仕事)

初仕事

4日間強制的に休まされてバンダバーグの田舎町にもだいぶ飽きて来た5日目。

ついに朝から仕事に行けるようです。

家主の口ひげチャラ坊主とハウスメイトのガチャピンとタカギ、そして私とシズちゃんの5名でファームへ向かいます。

ハウスメイト

[クチヒゲ]
[ガチャピン]
[タカギ]

[朝4:30]

クチヒゲのチャラ四駆にみんなで乗り込み出発。

バンダバーグの町から時速100kmほぼノンストップのまま約1時間で到着。

おしんぽこ
おしんぽこ
もはやここはバンダバーグではない

と言っても過言ではないほどに町から離れています。

クチヒゲ
クチヒゲ
うぃっす!

着いたっす!

普段はトマトとかのピッキングがメインなんですけど
今日は珍しく時給の仕事っす!

シンさん、シズさん初日からついてますね!

クチヒゲが言うには、

収穫したらした分だけもらえるトマトピッキングの仕事よりも、時給の仕事の方が稼げるらしいのです。

つまり普段の歩合制の仕事は相当頑張らない限り稼げないのでしょう!

[時間は朝6時]

薄暗い中思っていたよりも全然狭い、何も無い畑に連れて行かれました。

暗くてよく見えませんが、30〜40人の若者が集まっています。

言葉を聞く限りほぼ全員日本人か台湾人のワーホリのようです。

この日はプランティング(苗植え)の仕事をやるとの事。

  1. 穴あけ部隊
  2. 苗を落として行く部隊
  3. 苗を穴に植えて行く部隊

の3部隊に分かれました。

我々チーム・クチヒゲの5人は3番の植えて行く部隊に配属されました。

クチヒゲ
クチヒゲ
おっしゃ〜ここで俺らの速さ見せつけてやりましょうよ!

認められたらまた時給の仕事もらえるかもっすよ!

おしんぽこ
おしんぽこ
おーそんな感じなんですね⁉︎

やったりましょう!

シズちゃん
シズちゃん
いぇ〜い

がんばるぞ〜!

ガチャピン
ガチャピン
やだ〜
今日泥まみれ確定じゃん
タカギ
タカギ
しゃがむ仕事嫌だな…

やる気満々のクチヒゲとは対照的にガチャピンとタカギは全くやる気がありません。

特にデブのタカギには,しゃがんで立ってのスクワットの繰り返しとも言えるこの苗植えの仕事は辛いでしょう。

ガチャピン
ガチャピン
まっテキトーにやりますか
うふっ!
タカギ
タカギ
隙を見てサボろうっと
時給だし

しかし時給なので遅かろうが速かろうが関係なしに給料がもらえるので、それでもピッキングよりは良いようです。

おしんぽこ
おしんぽこ
どんだけピッキング稼げねぇんだよ

などと思っている間に各々が担当するレーンを与えられ、プランティングがスタートしました!

[置いてある苗を穴にいれて土をかぶせるだけ]

思っていたよりもめっちゃ簡単です!

結局何の苗なのかは知りませんが、植えまくります。

ガンガン進んで行き、気付いたら私が先頭に立っています!

おしんぽこ
おしんぽこ
お〜!私には苗植えの才能があるのかもしれない!

と言うよりはみんな遅すぎやろ!

などとクラスにひとりはいる

「マラソン大会でスタートと同時にダッシュして目立ってしまうやつ」

のような感じでガンガン進めて行きます。

そして苗植えを開始して10分。

相変わらず先頭を行く私を大声で呼ぶ男が⁉︎

Hey!

What are you fucking doing!?
(何やっとんじゃコラ!)

Come here fucking Japanese!
(クソジャパニーズこっち来いや!)

おしんぽこ
おしんぽこ

ファックという言葉

[デブボス]

この男はファームの大ボスらしく、トルコ出身の成り金デブであります。

人遣いが荒く、汚い言葉でアジア人を罵り、スタッフ全員から嫌われているらしいのです。

そしてそのデブボスは今まさに私に向かって何かを言っているのですが、遠過ぎてよく聞こえません。

またデブ過ぎて私の所まで歩く事も困難な様子。

Come here とうっすら聞こえて来たので、苗植えを中断してデブボスの元へ行ってみます。

おしんぽこ
おしんぽこ
はい、何か御用でしょうか
デブボス
デブボス
ファック!

お前!テキトーに苗植えすんなよ!
真っ直ぐ垂直に植えろ!

動きが速いからって調子に乗るなよ⁉︎
ファック!

これも!あとこれも!
そして3つ先のあれも!

植えなおせ!
ファック!

おしんぽこ
おしんぽこ
え!?

すんまへん!

了解っす!

シズちゃん
シズちゃん
プププ〜怒られてるぅ〜
おしんぽこ
おしんぽこ
いやぁお恥ずかしい
クチヒゲ
クチヒゲ
……
ガチャピン
ガチャピン
あーあ

目つけられちゃった

…うふ

タカギ
タカギ
膝痛い…

どうやらこのデブボスはなんでもいいから誰かになんか言いたいのでしょう。

苗植えのような目をつぶっても出来るような簡単な事をミスするわけありません。

はっきり言って他のレーンを見ても私の仕事と大差ないクオリティなのですが、初仕事の私が気合いを入れ過ぎて生意気にも先頭に立った事により、大きく目立ったためこのような事が起きたのでしょう。

私は理解し、デブボスに指摘された箇所を修正するフリをして何事も無かったかのように再び持ち場へ戻りました。

するとチャラくて空気は読めないがプライドだけは異常に高い我々のリーダー・クチヒゲが私の所に寄って来ました。

クチヒゲ
クチヒゲ
うぃっすうぃっす!

シンさん(コソコソ)

気にしなくて良いっすよ
あいついつもああなんで

はじめて見る男とかいるとすぐ言いに来るんすよ(コソコソ)

特にシンさんは動き速かったんで目立ったかもだから、少しスピード抑えてみんなと同じくらいのペースでやってOKっす(コソコソ)

どうせ時給だし

別にコソコソ話じゃなくてもトルコ人には日本語分からんだろ

と思いながら私は答えます。

おしんぽこ
おしんぽこ
マジで本当に何も気にして無いんですけど…

クチヒゲ
クチヒゲ
え?

いやだってあいつマジでムカつきません?

すぐファックて言うんすよ?

何言われても良いけど一生懸命やってんのにファックとか言われたらやる気無くなるじゃないですか?

おしんぽこ
おしんぽこ
ん〜まあ…

実際この初仕事日が始まる前からこの短気ですぐキレる嫌われオーナーことデブボスの話はよく聞いていました。

なので私の心境としては

お〜!これが例のやつ!

と言う感動にも似た気持ちであります。

正直なんとも思わないし、クチヒゲはファックと言われるとムカつかなきゃいけないと思っているからそうなわけで、大人になってから英語を話し出したのであればそれはただの思い上がりであり、FUCKという単語の細かいニュアンスまで体に馴染んでいるわけが無いのです。

ファックと言われてムカついてる感じを出している自分に酔っているだけではないか?と私は思います。

これは非常に細かい感覚なので理解し難いかもしれません。

本気の留学や意識高く海外生活を送っている人以外の人達。つまりワーホリ民の大半がそうである「ぶっちゃけ遊び半分ワーホリ」の人間の中でも、特に言語能力が高いわけでも無いのにかぶれ方だけは一人前系の人達はこの様な傾向にあります。

デブボス
デブボス
ファック!

急ぎやがれこのデブ野郎!

タカギ
タカギ
ひぇ〜

あんたもなかなかのデブじゃん…

クチヒゲ
クチヒゲ
チッ…

またうちのチームにファックとか言いやがってクソが…(ボソボソ)

車内青光り系・夜中のドンキホーテの駐車場によくいるタイプのダサ民族の典型例のクチヒゲはまさにそのタイプと言えます。


2時間後。

今日は人数が多かったらしく苗植えの仕事はあっと言う間に終了。

時給の仕事なのでここから先は時給は発生しません。

おしんぽこ
おしんぽこ
たった2時間かよ!

ファック!

パプリカのピッキング

全然実がなっていない

めったに入らないと言われている時給の仕事であるプランティングはたったの2時間で終了。

時給は15ドルとの事なので30ドルで終了しました。

30〜40名いた作業員のうち数名は早くも車に戻り帰宅している様子。

シズちゃん
シズちゃん
まさかこれで終わりじゃないよね?
おしんぽこ
おしんぽこ
ん〜どうだろうね

これで終わりだとすると日給30ドル。

仕事にするには厳しい稼ぎですが、どうやらそういう日も珍しくないらしいです。

しかしこの日はこれから別の畑に移動して違う仕事あるようなのでそちらへ向かいました。


中学校の体育館くらいの広さのハウスに等間隔でビッシリと並んだ高さ2m程の木々

これから始まるのはパプリカのピッキングです。

それをこの海外ではお馴染みキッコーマン醤油バケツ19Lにパンパンに詰めなければなりません。

おしんぽこ
おしんぽこ
ってほぼパプリカなってないやん!

一面真緑、目を凝らすとたまにチラッと見える小さなパプリカ。

この大勢で奪い合うようです。

おしんぽこ
おしんぽこ
1バケツ作るのにどんだけかかるんだろう?

軽くやり方を教えてもらい,ピッキングスタートです。

マジで全然なっていないパプリカの木をかき分けながら発見してはちぎりを繰り返して少しずつためていきます。

おしんぽこ
おしんぽこ
全然無いな〜

シズちゃんいくつ取れた?

シズちゃん
シズちゃん
私まだ10個くらい

バケツ満タンにするなんて気が遠くなるよね

と,その時!気が狂ったような日本人女性の叫び声が聞こえてきました!

キヨミ
キヨミ
ア”ァァァァ!!!

ドン!リムーブステーム!

リッスン!
ドン!リムーブステーム!

アーユースィリー⁉︎
ドンリムーブステーム!

アーー!!!

どうやら

ヘタを取るんじゃない!
ヘタは付けたまま収穫しろ!

お前らは馬鹿なのか?
ヘタ取るんじゃねぇ!

あー!

と言っているようですが、恥ずかしいくらいカタカナ英語過ぎておそらく誰にも伝わっていないかと思われます。

おしんぽこ
おしんぽこ
彼女は何者ですか?

なんか機嫌悪いんですか?

タカギ
タカギ
あの人はスーパーバイザーのキヨミさん

もともとワーホリだったらしいんだけど…

いつもサボっているタカギは仕事もせずいろんな人達と喋っているらしく、そこら辺の事に詳しいのでキヨミさんについて教えてくれました。


おしんぽこ
おしんぽこ
(あの人に似てる…)
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ワーホリ 女子の闇

彼女はこのファームのスーパーバイザーで、我々とは違い雇用されているようです。

我々チーム・クチヒゲやその他の日本人約40名程を束ねているようですが,まともに話した事がある人はほぼいないらしいです。

【タカギ談】

もともとワーホリでピッキングに来ていた彼女ですが、ファームのトップの人間枕営業を繰り返し、不正にセカンドビザをゲット。

しまいにはワークビザまでサポートしてもらっているというとんでもない女であります。

しかしビザサポートの裏側ではほぼ給料ももらっていないだとか、年齢も30代後半となり今やただのファームのお荷物となっているだとか…。

本人は人生に迷い、残酷にも進んで行く時間、増大して行くストレス、そして誰からも愛されなくなり、精神は崩壊。

今や毎日無駄に叫び続けるだけの存在になってしまったようです。

キヨミ
キヨミ
アァァァァ!!!

おしんぽこ
おしんぽこ
ビクンッ!

クチヒゲ
クチヒゲ
毎日あんなんですよ!
気にする事ないっす!
うぃっす!

ガチャピン
ガチャピン
私あの人キラ〜イ!

このような話は実はよく聞く話で、色仕掛けでファームの責任者へ近づき何の努力も無くセカンドビザをGetするワーホリ女達がオーストラリア中にいるようです。


バンダバーグでは大声をあげて怒鳴り散らかす嫌われマネージャーと

それに怯えるわけでもなくただ鬱陶しいと思いながら黙って働く労働者

どうやらこの構図が主流のようで、

みんなで仲良くファームでのんびりとしたスローライフ

みたいなものは望めないという事が分かりました。

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バンダバーグの闇

この日はパプリカを4時間収穫して昼の12時に終了。

結局4時間かけて収穫できたのは私もシズちゃんもたったの4バケツ。

1バケツ5ドルなのでパプリカピッキングの収益は20ドルです。

時給換算で5ドルであります。

早朝の苗植えの30ドルと合わせてこの日の日給は50ドルとなりました。

車代6ドルをクチヒゲ坊主に渡さないといけないので実質44ドルです。

それなりの時間働いたし、それなりに疲れています。

体感的には

1日の仕事が終わったな!

という気分ですが、稼げたのはたったの44ドルです。

イメージとは違うファーマーの荒々しい性質思っていたよりも全然稼げないという事実。

今日もまたバンダバーグの闇を感じたのであります。

クチヒゲ
クチヒゲ
今日は50ドルくらい行ったんじゃない?

ガチャピン
ガチャピン
ねー!

結構稼げて嬉しい!

え?50ドルで?

バンダバーグの闇は深い…。


クチヒゲ
クチヒゲ
うぃっす!

そしたら明日、明後日ゆっくり休んでもらって、しあさってまた同じ時間に出発するっす!

おつかれっした!

おしんぽこ
おしんぽこ
また休み⁉︎

バンダバーグの闇は深過ぎます。

ゴールドコーストで決めたバンダバーグ行き。

きっかけは「なんでそんなに評判が悪いのか」が気になったというちょっとした悪ノリでした。

でも流石に殺されるわけじゃないしねぇ?

と、あまり深く考えずにこのファームに参加したのですが、たった1週間の生活で分かりました。

初日から4連休させられて1日だけ仕事もらってたったの44ドル稼いでまた2連休。

私とシズちゃんはこの7日間、

つまり1週間で44ドルずつしか稼げなかったのです。

家賃もかかるし食費もかかります。

これはジワジワと命を削られている事になりませんか?

この日私とシズちゃんは真面目に話合い決断に至るのでした。


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【旅行記164】劣悪なのは街ではなく人である|バンダバーグ【オーストラリア20】シドニーでの半年間の生活を経て、セカンドビザを取得すべく シドニー ▼ ゴールドコースト ▼ ブリスベン と移動してきた私と...

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