彼女のシズちゃんが到着し、タックスファイルナンバーや銀行口座の準備も完了。
シズちゃんはこれから語学学校で英語を学び、私はこれまで通り愛すべき職場「Restaurant Sakura – 咲良レストラン」で週60時間の鬼労働であります。
今回はその咲良レストランで共に働く男の話。
前回▼
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CONTENTS
イケメンじゅんぺい君
天は二物どころかいっぱい与えちゃう?
私が働いている咲良レストランに週3日ほど入っている男前がいます。
彼の名前はじゅんぺい(25)大学生であります。
私が咲良レストランに入った時じゅんぺい君は一時的に帰国していたようで会うことはありませんでしたが、1ヶ月ほど経ったころ、彼はシドニーに戻って来て仕事先で顔を合わせたのであります。
まず最初の印象は、今まで見たことのある日本人男性の中で一番のイケメンだということ。
芸能界にいてもおかしくない顔面の持ち主であります。
「天は二物を与えず」と言う言葉をご存知でしょうか。
簡単にいうと
というシステム。
頭がいい人は顔面に不具合があったり
美女だけど頭おかしかったり
すっごい人当たりいいのにワキガで嫌われてたり
と神様は人類全体的に公平になるようにヒトをお作りになったのでしょう。
しかし神様は稀にたくさんのモノをひとりの人間に授けることがあるようです。
優しい性格
おそらく彼はモテまくって育ってきたに違いありませんが、気取っておらず非常に優しい性格であります。
またとても謙虚で礼儀正しく、育ちの良さを感じます。
さらに人の話をよく聞いてくれるし、よく笑ってくれます。
イヤフォンのプニプニを一個無くしたってこないだ言ってましたよね?
俺いくつか持ってたんで今日持ってきましたよ
休憩中に試してみましょう!
サイズ合うといいけど
ありがとう
彼を嫌いな人などおそらくいないでしょう。
金持ち
じゅんぺい君の親はめちゃめちゃ金持ちらしく、彼の学費、滞在費は親に賄ってもらっているようです。
また彼自身ファッション関係のモデルの仕事などをやっているらしく、いつもお金をたくさん持っている感じがします。
あんたジャパレスでバイトする必要ないやん?
それに親にもあまり頼りたくないので自分が食べる分くらいは自分で稼ぎたいんです
でもやっぱりシンさんや他のみんなと知り合えたのが一番ですね!
あとシンさんが作るまかない美味しいし
頭脳明晰
彼が通うのは名門・シドニー大学であります。
日本の大学を卒業した後にシドニーの大学に入学したようです。
英語ペラペラ
通訳者の親の影響で、幼少期から英語教育に力を入れていたらしく、彼の発音や英語に関する知識はネイティブ並であります。
私のバックパッカー英語とは天と地の差です。
▼ワーホリビザで滞在する日本人あるある▼
日本人同士で話しているときに
いかに自分が外人と仲がいいか
いかに現地の環境に馴染んでいるか
いかに日本語環境を嫌っているか
いかに普段から英語を喋っているか
を必死に日本語でアピールします。
『白人』のオージーなんだけどぉ〜
エネミーは本能寺にあり!って感じだよね
【旅行記153】で出てきたかぶれ女が良い例であります。
しかしじゅんぺい君のような英語が堪能過ぎる男を見ると、いかにそれらが愚かで醜いものかが分かります。
彼が日本語を話している時は、ほとんど英単語を発しません。
なぜなら日本人と日本語で会話しているからです。
他にも気が利くところ、バイトでも真面目に取り組むところ、おしゃれなところ、その他にも彼のいいところをあげるとキリがありません。
このようなまったくもって非の打ちどころがない男・じゅんぺい君と今回は2人で出かけることになりました。
スケボーを買いに行く
私はオーストラリアでやりたいことがいくつかありますが、そのひとつに『スケボーに乗る』というものがあります。
私は中2の時におもちゃのようなスケボーを所有し乗っていたことがありますが、数ヶ月で壊れてしまいそのまま辞めたのでほぼ素人といえます。
しかしここはオーストラリア。
『大人がスケボーに乗っていても恥ずかしくない国』なので再び挑戦したいと考えていました。
そんなことをパーフェクトイケメン・じゅんぺい君に話していたところ、彼もスケボーに興味があったようで、2人で買いに行く事になったのです。
スケボーの種類
行った場所は『Basement Skate』というお店です。
一口にスケボーといってもいくつかタイプがあります。
我々は2人ともまったく分からないのでお店のお兄さんに聞いてみました。
ストリート
よく見るタイプのスケボーです。
前後がほぼ同じ形。
軽いので飛んだり跳ねたりできるやつです。
クルーザー
街乗りに適したボードです。
幅が広く安定しています。
ロングボード
全長1m超えの大物です。
ダウンヒル(坂下り)などスピードを出す時に乗るやつですが、海外では街でも乗ってる人をよく見ます。
ペニー
オーストラリア発のプラスチック製の小型クルーザーです。
小さいので持ち運びに便利です。
カーヴァー
名前の通りすっごいカーブができるボードです。
サーファーが陸でのトレーニング時によく使っています。
熟考した結果
おしんぽこ
サンタクルーズのストリートボード
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じゅんぺい
Penny
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パーフェクトじゃなかったじゅんぺい
血まみれ
スケボーを購入して1週間。
車が多い場所や人通りが多い場所などは片手で持ち歩きます。
- 誰もいない
- 地面ツルツル
- 坂道じゃない
この条件が揃った場所のみスケボーに乗り通勤しました。
何度か転んだりしましたが、基本的には手で持って歩いているので特筆するほどの事件は起きていません。
しかしそんなある日いつものように手でスケボーを持って歩いて仕事に行ったところ、血まみれの男と店の入り口で遭遇しました。
どうしたの?
血まみれでも相変わらず爽やかです。
私は完璧でないじゅんぺい君を見て、心配しながらもものすごい親近感が湧きました。
唐揚げ女
我々が働いている咲良レストランはTake Away(持ち帰り)もやっていて、店内のお客さんと同じくらいの割合で持ち帰りのお客さんが訪れます。
中には週に何度も買いに来る常連客もいます。
その中の1人に日本人のワーホリだと思われる20代半ばくらいの女性がいました。
週に4日ほど唐揚げを買いに来るのです。
あの子また来てますよ!(コソコソ)
あ〜ほんとだね
どうかしたの?
この男!
完全に唐揚げ女に惚れているではないか!
このバレバレな感じもじゅんぺいほどのイケメンであれば「可愛い」になるのでしょう。
私は彼と同性でありながら彼の可愛さにドキッとしたほどであります。
そしてある日彼とともににまかないを食べている時に彼から相談を受けました。
実は…
俺!告白しようと思ってます!
面白すぎる!
面白すぎるぞ!
しかしホールで働くじゅんぺい君でさえも、唐揚げ女とはお会計時の必要最低限の会話以外はした事が無いらしく、いきなり想いを伝えるのはリスクが大きすぎると判断しました。
なのでまずは近づくことから始めた方が良いのでは?という話になりました。
[作戦を練った結果]
次回彼女が唐揚げを買いに来た時に、持ち帰りパックを抑える輪ゴムの所にじゅんぺい君の電話番号を書いた紙を挟めて
「良かったら連絡下さい」
と一言添える作戦に決まりました。
そして作戦を立てたその日!
はやくも唐揚げ女は現れたのです!
今日来るとは思ってなかったんでまだ紙用意してなかったっす!
え〜っと紙…紙…
じゅんぺい君は焦ってキッチンに張られているシフト表の紙を少し破りその裏に電話番号を書き殴っています!
あ〜もういいっす!
これで行きます!
唐揚げの持ち帰りパックをビニール袋に入れ手首にぶら下げながら店を出る唐揚げ女を追いかけるじゅんぺい君。
お会計は別のスタッフがしてしまったため、直接手渡しで電話番号を渡しに行ったようです。
30秒ほどで戻って来た彼の顔は笑顔に満ち溢れています。
ありがとうって言ってちょっとにっこりしてました!
後は彼女から連絡を待つだけっす!
お〜さすが!
そりゃそうです。
血まみれといえどあんな完璧なイケメンから電話番号を渡されたとなると唐揚げ女もさぞかし嬉しかったことでしょう。
その日早番のシフトで誰よりも早く出勤していた私は、みんなよりも早く上がりました。
お疲れ様でした!
明日も早番だっけか…
あれ?シフト表破れてる
お疲れっす!
時間は21時。
あたりはもちろん暗くなっています。
しかし咲良レストランはまだ営業中なので店の灯りが入り口の前の歩道を照らしていて薄暗いながらも地面の模様がしっかりと見えるくらいの状態です。
日本人が経営する日本食レストランなので店内も店外も掃除が行き届いているのですが、この日私は入り口の所にゴミが落ちているのを発見しました。
もう退勤した身ではありますがお世話になっている職場なので、勤務時間外と言えど店のゴミを拾う仕事意識が高い私。
そしてそのゴミを見て私は驚愕するのであります。
これは!
それは紛れもなくじゅんぺい君が唐揚げ女に渡したはずの電話番号が書かれた紙だったのです。
彼は全てが完璧な男だと思っていましたが、意外にも恋愛のようなものは下手くそみたいです。
私はその紙をどうすべきか迷いましたが、夢のままでいて欲しいと判断しその事は彼には伝えず、私はその紙をポケットに入れて何もなかったかのようにスケボーに乗って帰ったのでした。
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