オーストラリアへワーホリビザで到着後すぐにシドニーで働き始めた私ですが、相変わらず無一文であります。
しかし住む場所と収入源を得た私は生活の基盤は取り敢えずできたと言って良いでしょう。
『Restaurant Sakura-咲良レストラン』というジャパレス(日本食屋)が私の職場なのですが、まだ入ったばかりということもあり
という葛藤は続いています。
※ちなみに咲良レストランは仮名です
前回▼
スポンサーリンク
CONTENTS
友達?兄弟?何にせよ仲良し
私がシドニーに到着した日にAgodaで一番安かった宿『Captain cook hotel-キャプテンクックホテル』に追加で1週間分の料金を支払い、ついに本当の無一文になってしまいました。
到着した日には400ドル持っていましたが、宿代の支払いや謎のスマホと謎のSIMの購入により、一瞬で財布は空っぽであります。
私を即採用してくれた咲良レストランのオーナーやすえさんへの感謝の念は強まる一方でありますが、同時に「あんまり仕事に想いを込め過ぎると辞めにくいなぁ~」と言う考えが尽きません。
なぜかと言うと本当なら稼げるローカルジョブ(現地人経営の仕事)をしたかったからであります。
しかし今はマジの無一文。
とにかく目の前の小銭が必要なのです。
とりあえず!
なんでもいいから
とりあえず生きるためのお金を稼がないと!
そんな中、私が寝所としているキャプテンクックホテルのキッチンで不味いフリーコーヒーを飲んでいたところ、ルームメイトのフランチェスコ以外の2人、アレクサンドロとジュリアンが私の元へやって来ました。
シンは今夜何すんの?
1階のバーで飲もうぜ!
※このホステルの1階はバーになっている
だからバーで飲んだり食べたりは給料が出てからかな
でも誘ってくれてありがとう
ビール飲む金くらいあるだろ?
マジの無一文なんですわ
シドニー初日に知り合ったとってもイケてる私のルームメイト達。
本来ならこういう誘いは私は喜んで参加したいのですが、もう28歳なのにまったくもってお金を持っていない大変恥ずかしい私にビールを飲む権利などありません。
しかし優しい彼らは思いがけないことを発言したのです。
金は気にすんな!
そんなの悪いよ!
シンは今日の夜は絶対来なきゃダメだ!
だから日付が変わる前に絶対帰ってこい!
ビール代も気にすんなよ?
分かったか?
がっはっはっは!
なんて良い人達なんでしょう!
ただ部屋が同じというだけでここまで仲良くなれるでしょうか。
そしてただ部屋が同じと言うだけでここまでルームメイトを思ってくれるのです。
国籍もバラバラ、4人とも第一言語は英語ではありません。
しかし4人とも英語でコミュニケーションを取り、兄弟だと嘘の無い真っ直ぐな目で私を見るのであります。
こんなに良い友達ができるなんて!
外国人と安宿のドミトリー部屋で寝たことはこれまで何度もありましたが、ともにそこで家族のように生活をするというのははじめてであります。
カナダでの1年間は中国人の家の地下室でほぼ一人暮らし状態だったので、よくよく考えるとこういった生活をしたことがなかったのです。
朝からとても気分が良く、この日は仕事へ行く足取りも非常に軽く感じました。
日本食屋で働く最大のメリットはまかない
この日もいつも通りのポジションで、いつも通りの仕事をします。
私は揚げ物や焼き物,そして肉の仕込みなどを担当しています。
【旅行記147】で料理対決をしたみうらちゃんとは若干まだ『犬猿の仲感』は感じますが、別に悪い人ではないし、他のスタッフが優しい人達なのでそれほど居心地の悪い職場ではありません。
むしろ居心地が良いと感じてしまった事件が起きました。
▲料理対決の日以来、私は毎日まかない(従業員食)を作らされています。
また、あれ以来みうらちゃんは
私見てるんで!
説明しながら料理して下さい!
いいですかぁ⁉︎
と、雑ながらも私に懐いてきています。
この日もまたいつものようにまかないを作ろうとしたところ、料理長のエイキチさんが私に声をかけてきました。
どうやら本日はエイキチさんが食事を作るそうなので、遠目からチラチラみていたところ、なんとデッカイサーモンを切り出したのであります!
そして出てきたのはめっちゃめちゃ美味そうなサーモン丼だったのです!
最高です!
ジャパレスではない他の業態であれば、まずこのようなまかないはあり得ません!
サーモン最高!
実はこれだけでなくほぼ毎日一食は日本人のお口に合うような料理を必ず食べることができたので、私は心から咲良レストランで働けていることに感謝をしました。
さらに帰り際には余った巻き寿司や唐揚げなんかをもらえたりするので、どうやら今後も食べ物に困ることは無さそうです。
はじめて働くジャパレスですが、こんなメリットがあったとは思いもよりませんでした。
スポンサーリンク
日本食屋で働くデメリット
日本語環境
しかしなぜ私はジャパレスで極力働きたくなかったのかというと、そこには少なからず『デメリット』が存在するからであります。
まずそのひとつは日本語環境だということ。
私は「将来のために英語ペラペラになってやる!」といった強い気持ちがあっての留学ワーホリをしているわけではなく、単純に金を稼ぐためにワーホリ、ついでに日本ではできないおもろいことをしたいという感じなのです。
しかしそこが日本人コミュニティであればあまり濃い海外経験はできないでしょう。
また日本語ばっかり喋っている時点で間違いなく英語力は伸びないし、それまでに英会話の訓練を積んでいたとしても日本語環境に染まった瞬間すぐに水の泡になってしまうのであります。
もちろん個人差はありますが、大人になってから英語を話しはじめた人は、覚えるのには時間がかかり、抜けるのは一瞬です。
私が海外に出たのは26歳で正直遅いので、なるべくなら英語環境に身を置いておきたいのであります。
給料が安い
そしてジャパレスで働く最大のデメリットは給料が安いこと。
もともと飲食店勤務というのは高い賃金に期待できないというのが常識であります。
なぜそんなに給料が安いのかというと『誰だってできるから』です。
しかし日本での常識はそうですが、一方でオーストラリアは違います。
飲食店のサービスマンや料理人の給料が他の職業と比べても劣らないほど高い場合があるのです。
その原因は間違いなくレストランの価格設定にあるでしょう。
・パンシワシワ、中身ぐっちゃぐちゃハンバーガーのセット1,600円
・普通のコーラを汚いコップに入れただけ700円
・食べたことはないけど想像だけで作ってみたのであろう不味いエスニック料理2,200円
・しょうもないパブのかた〜いステーキ2,800円
日本ではクレームが出てもおかしくないようなひどいものに自信満々の値段をつけているのです。
そしてそれらは
と全く問題がなかったかのようにじゃんじゃん注文されていくのです。
つまりしょうもない食材をテキトーに料理してマヨでもかけときゃ客は喜んで金払うのであります。
技術や食材、また人件費などにたいしたコストをかけることなくでっかい売り上げを作ることが可能なわけです。
そういう理由から飲食店で働く人間にも充分に給料が回るのです。
極端ではありますが、事実であります。
海外の飲食店で日々努力を重ね素晴らしい仕事をされている方には申し訳ありませんが、ぶっちゃけそうじゃないですか?
ではなぜ日本食屋は給料が安いのか?
その理由は売価の安さであります。
寿司や日本食が高級料理だという位置付けはもはや過去のもので、中国人や韓国人が世界中に『激安SUSHIレストラン』を作りまくった結果、今や寿司はファストフードとなんら変わりありません。
若者がスケボー片手にマヨネーズたっぷりの巻き寿司をかじっているのが現実であります。
寿司なのになんでこんなに高いの?
ハンバーガーじゃないんだからさ
と言われちゃうので、日本食屋の価格設定は比較的安めなのであります。
また日本食は原価率も高いし、手の込んだ仕事を要するために人員も削ることができず、その結果従業員1人あたりの給料が安くなってしまうのであります。
ところで私の給料はいくらなんだろう?
面接の時は
あなたの仕事ぶりを3~4日見させてもらってから給料について話し合いましょう
と言われていたので詳しいことは知りません。
ということでオーナーのやすえさんに聞いてみました。
給料のことなんですが…
そろそろ時給を決めましょうね!
こっちに来て
やすえさんと私は店の外で給料の話をすることになりました。
日本では
『時給〇〇円スタート』みたいにバイトの時給はみんな公平に決められていますが、海外では雇用主と1対1で話し合います。
雇用側がスタッフを評価し、スタッフが自分の価値をアピールして良い落とし所を決めるのであります。
日本では
「私はこれもできるし、あれもできる!給料は〇〇円くらいはもらってもいいと思いますけどね!」
と面接時から直接オーナーに意見するなどなかなかできないことですが、海外では別におかしいことではありません。
なので『スタッフみんな給料が違う』のでやすえさんは他のスタッフに話を聞かれないようにこっちに来てと私を店の外へ連れ出したのであります。
やるオトコだわ
さすが無一文の人は目が違うわね!
おほほほほほほ!
冗談よ
それで時給なんだけど…
……そういや相場が分からん!
この時は何も知りませんでしたが、オーストラリアで時給14ドルはめちゃくちゃ安いんです。
しかしここ咲良レストランはキャッシュジョブ(現金渡し)なので(当時の)税金30%を払ったことを考えると時給は20ドルであります。
さらに当時のオーストラリアドルは88円ほどで、日本円で1230円くらいになるのでそこまで安くは感じませんでした。
ありがとうございます!
うちはあまり多くは払えないんだけど、もし半年続けてくれるって言うんなら16ドルまで上げるわ
もちろんあなたの働きぶりを見てだけどね?
オーストラリアのワーホリでは『同じ雇用主の元では半年しか働けない』と言う謎のルールがあります。
決して高くない時給ではありますが、時間数は私がやれるだけ入って良いとのこと。
週7で働く料理長エイキチさんに休んでもらうためであります。
ということで、
時給14ドル×週60時間×4週=月3300ドル
という貧乏人の私には非常に有難いシフトを組んでもらうことになりました。
しかも私の努力次第では16ドルへの時給UPもあり得るので、カナダのワーホリ時と同様に大きく貯金を作ることができそうです。
決めた!私はここで金を稼ぐ!
スポンサーリンク
オーストラリアの時給ってマジヤバい
給料も決まり俄然やる気が出てきた私。
最初の給料日まで生き抜けばこの「一文無しの私vsオーストラリアワーホリ 」に勝利であります。
食にも困らなそうだし、勝利目前と言っても過言ではありません。
朝のルームメイト達との約束により夜はなるべく早く宿に戻りました。
ビール飲むか?
乾杯しよう!
フランチェスコもさっき帰って来たからちょうど良かった
1階のバーは宿泊者と客で毎日盛り上がっています。
先に飲んでいたジュリアンとアレクサンドロにデカいジョッキの生ビールを奢ってもらい、悪い気がしながらもいい気分で乾杯しました。
ほどなくして明日誕生日であり本日の飲み会の主役・フランチェスコが上の階から降りてきてルームメイト4人が揃いました。
フランチェスコは出会った時は求職中でしたが、私と同じくシドニーのレストランで仕事が決まったのであります。
「フォカッチャいっぱい持って来い」
ってどうかしたの?
一応4つ持ってきたけど部屋に置いてるよ
食べたいんなら持ってこようか?
ジュリアンはこの日、シドニーのイタリアンレストランで働くフランチェスコにフォカッチャ(イタリアのパン)を店からパクって来いと連絡していたようですが…。
シンが金無いって言ってたからさ
ガッハッハ!
そうなんだ!
シン君フォカッチャで良かったらいくらでも店から持って帰ってくるよ!
超ありがとう!!
私は今、一文無しで『地獄の真っ最中』なはずなのに
仕事が決まり
毎日日本食がタダで食べられて
良い友達と暮らしていて
幸せしか感じていません!
航空券が安かったからとテキトーに選んだシドニーでしたが、オーストラリアワーホリのスタートは怖いくらいに絶好調です。
精神を安定させてくれるものは金だけだと私は思っていましたが、こういった生活の充実や人との出会いによる楽しみこそが金のない私の心をギリギリのラインで保ってくれているのであります。
お前は痩せてるからビールをいっぱい飲んで俺みたいな立派な腹になれ!
ガハハハ!
ビールこっちに2つね!
シンも飲むだろ?
ありがとう
$24 Please
ところでなんでこいつらこんなにジャンジャン金使えるんだろ?
と思い参考までにみんなの給料を聞いてみました。
材木店でフォークリフト
時給26ドル
イタリアンレストラン
時給24ドル
マイニング(採掘場)勤務
給料不明だが1番の金持ち
天ぷら揚げ係時給14ドルでっす!
一度は咲良レストランで金を稼ぐと決意したものの、みんなのヤバすぎる給料を聞いて若干落ち込みました。
しかし
時給が安けりゃ時間数で稼いだるわい!
と意気込みながら
もらったフォカッチャをかじり、奢ってもらったビールで胃袋に流し込んで明日への活力にする私でした。
不況知らずのオーストラリア。
現在も賃金は毎年上がり続けています。
前回▼
次回▼