私が週5~6日で働いているバー『Soul』の調理場は変動の時期を迎えます。
なんとレギュラーメンバーの伊達さんがワーホリビザ終了により店を辞めるのであります。
キューバ旅行行ってくる
更に他のパートタイムのスタッフも辞めたり消えたりで残ったのは…
今回はお店の話です。
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地獄!週6続きで体力の限界?
残ったメンバーは3人
私が働いている店のキッチンは基本的に3人編成で、忙しい日や忙しい時間帯(一日中だけど)は変則的に4人になります。
また地下には仕込みをする広いスペースがあり、野菜を切ったり肉を捌いたりしています。
忙しくなるとここの人がダッシュで上にあがってきて、4人編成になるいうわけです。
これまでは在籍スタッフ6名でうまくシフトを回し、週5日勤務のことの方が多かったのですが、同時期に3名が辞めてしまいました。
残ったメンバーは
シェフのケン
でんじろう
そして私
の3人のみ。
と思っていましたが
そのしんどさは想像していたものを遥かに超えていたのです。
3人じゃ追いつかない!荒れるキッチン
「1人減っただけだし新人が入るまでちょっと頑張れば大丈夫」
と思っていました。
しかしその1人の穴はかなり大きく、3人になって2週間も経つころにはキッチンは崩壊しはじめていたのです。
1人あたりの仕事の負担量が少しずつ増え、さらに休みは週1日。
1日の勤務時間は12~15時間以上。
一瞬も休む暇なく手を動かしつづけます。
仕事が終わったあとは家に帰るのも嫌なくらいに疲弊していて、着替えることもなく更衣室で倒れこむのであります。
さらにまったく仕込みが追いつかず、料理やサービスのクオリティもガタ落ちでもうどうしようもない状況。
日本で飲食をやっていた時代にも似たようなことを経験しましたが、この状況はかなりまずいです。
早急にトップの人間が改善策を打たないと、キッチンがそして店自体が取り返しのつかないことになりかねません。
そもそもこの店の忙しい理由
洗浄機がない
全部手洗いです。
1日5,000ドル売り上げる飲食店のキッチンを3人で回し、しかも全て手洗いです。
レシピがいちいち凝ってる
とにかくインスタント無しです。
さらにオーナーのこだわりか、電子レンジがありません。
冗談抜きでマジの全手作りだったのです。
キッチンの作りがおかしい
シンクが2箇所にあるのですが、どちらも洗い物専用。
すなわち、戻ってきたお皿以外の物(料理に使った鍋や自分の手など)を洗う場所がなく、ポジションから離れているのでかなり効率が悪いんです。
またポジションが直線上なので奥から(3の位置から)Dish upに料理を運ぶのは至難の技。
行かなければならないときは高速で動く2人をかわさなければならないのです。
それまでは在籍6人の営業4人だったのでなんとかなっていたのですが、3人になった途端歯車と言う歯車はぶっ壊れてしまい、次第に仲の良かったメンバーも疲労が過ぎるのか会話もなくなってしまいました。
全く使えないシェフ
「人が減って自分達の負担が凄いことになっている」
こういう時、普通ならどうしますか?
答えは2つ。
1つめは仕事のオペレーションや作業場の構造を見直して「システム自体を変更する」
2つめはシンプルに「人を増やす」
うちのシェフは何をしたかというと、トイレに行くと言って外でタバコを吸いながら下を向き神に祈ります。
トイレに行くと言うようになりました
あまりにも帰ってこないので探しに行くと
みたいな顔をしますがその後うつむき、
みたいな顔をしてきます。
おぉ~神よ…
と涙ぐみながらウイスキーを飲むという始末。
ガツンと言ってやりたいところですが、また年始の様な事が起こるのも嫌なので、放ったらかすのみであります。
面接をしないシェフ
3人体制になり3週間が経ちました。
あまりにも人が入ってこないので、私は許可を取り日本人コミュニティのサイトに求人を出しました。
応募は来ているのかと聞いてみたところ
の一言。
更に日本人からの応募があるとイチイチ馬鹿にしたことを報告してきます。
“Nice to meet you”
て書いてるけど会ってないよね?
日本人はすぐ
“Nice to meet you”
って送って来るけど会ってないのになんで送って来るんだ?
こんな英語ができないヤツはうちでは働けないよ
日本人には無理
分かりますよ。
はじめまして=Nice to meet you.
だと間違ってインプットされたままの日本人は多いはずです。
ただそれは何回も説明しました。
間違って覚えている日本人はかなり多いし、そもそも日本人は英語めっちゃ下手やけど、世界一働き者だから
ということを。
現に私の働きぶりやタフさを見たケンはぐうの音も出ないと言った状況、3人体制になり120%の底力を見せ始めた私に意見することは皆無であります。
またでんじろうもアホではありますがやはりその真面目さが大きな戦力となっているのです。
オーナーもよく言います。
日本人を雇って正解だったよ
なのに!
なのに!です!
いろんな理由をつけて面接をしないのであります。
新しく入る人がことごとくショボい
たまに人が入るのですがケンには全く「選球眼」がなく、彼が連れて来る人間はスピードも遅く気合いも入っていなヘナチョコ野郎ばっかりで、技術や知識を披露したいだけのナルシスト料理人ばっかりだったのです。
どんな店でやって来たか、何料理を学んできたか、どこのブランドの包丁か、得意なジャンル、どんなポジションをこれまで任されて、どんな作品を発表したか
面接をする時にそういうカッコつけたくだらないことばかりを気にして、肝心の「地獄を見る覚悟があるかどうか」を見きれていないのです。
この状況に私は我慢できなくなり、ついに私は暴走するのでした。
おしんぽこついに動き出す
勝手に面接
もともと求人を出すことだけは手伝っていましたが、連絡先をケンではなく私の電話番号に勝手に変えたのです。
そして文章も大幅に変更しました。
アメリカンバーのキッチン募集
めっちゃ忙しいんですけど、めっちゃ稼げます。
未経験で大丈夫です。
タフで気合い入ってる人だけ電話下さい。
完全英語環境ですが私は日本人なので仕事は私が日本語で教えます。
電話も日本語で大丈夫です。
といった感じで、私のような人間なら真っ先に食いつきそうな文章を載せてみました。
そしてまんまと食い付いた4名がこちら。
さわやかくん
とにかく元気で真面目で、出勤のバスの中でも仕事中に取ったメモを読み返す男。
あついさん
アツイ男です。
口癖はアツイ~!
ギャル子
見た目とは裏腹に無口で淡々と作業をこなせるギャップが凄いギャル。
前職は福祉というギャップ。
ちえみさん
本名、年齢、普段は何をしているか不明ですが週2で入ってくれるかなり頼りになるお姉さん。
唯一の定休日の日曜日や仕事前に早起きして「Tim Horton」というカフェに呼び出し、15人ほど勝手に面接をして、オーナーの許可だけ取り勝手に店にぶち込んだのであります。
勝手に指導
シェフのケンは私が勝手に事を進めたことに軽くピリついてる感じがありました。
しかし実際にオーナーに許可を取っていることと、4人が新しく加わって実際かなりラクになったこと、そしてもはやキッチン内での私の発言力の強さは前のそれとは比べ物にならないほど大きくなっていたため、私に何かを言ってくることはありません。
そしてそれまでのケンの『怒鳴り散らし自分の権力見せつけ指導方』からおしんぽこ流『とにかくやらせて体に覚えさせる指導方』に変更。
もはやシェフであるケンの立場などないのであります。
はあ?やり方覚えてねえのかよ?
これだからクソ日本人は!
1回で覚えろボケ!
から
時間あれば次のこれも用意しながら肉の様子見て…
…そうそう!簡単でしょ?はい次これ!
無理して覚えんでいいから何回も聞いてください
といった感じのまともな調理場に変えていったのであります。
ジャパレス状態になる
ついにキッチンは日本語だけで働けるようになってしまいました。
「お願いしま〜す」とか「よろしく!」みたいな言葉はおそらく英語にはないので、そういった言葉が飛び交いはじめた時にジャパレスみたいになってしまったと気づきました。
このあたりから私のワーホリの本来の目的である『英語力向上』を大きく達成することを諦めはじめます。
しかし日本語で細かいことを伝え合うことで作業のクオリティが上がり、かなり余裕ができてきたのです。
そして、それでも英語を話す機会は人生で一番多い毎日なので、少なからず英語力は上がっています。
さらに最も重要なことである「金稼ぎ」が思っていたよりはかどっているのであります。
一気に3人になり約1ヵ月ほど地獄を見ましたが、その後の私のかなり強引なプレイにより、一気に充実した日々を勝ち取ったのであります。
そしてカナダワーホリも後半に入っています。
ついに次回あそこに行きます!
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