1月6日年末年始の8連休が終わり新年最初の営業日。
と気合いは充分でしたが初日からシェフと衝突。
そしてなんとその日に私はクビになってしまったのであります。
こいつがかなり悪いんですが私も悪いんです。
前回▼
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CONTENTS
自宅で『無』になるおしんぽこ
どっちが悪い?
私は家に帰りその日あったことなど考える間も無くすぐに寝ました。
そして次の日。
クビになったのは夢でもなく現実であり、新しい仕事を見つけないとかなりヤバイ状況であります。
しかしまた以前のように履歴書を配りに行ったり面接に行ったりする気力はありません。
ただただ前日に起きたことを思い出し、反省したりまた逆にムカついたりを繰り返すだけの1日でした。
どっちが悪いんだろうと考えるとどう考えてもケンが悪いのですが、反撃してしまった私も悪いのは事実。
そして現実的なことで、職を失って痛いのは私なのです。
そもそもの原因は?
そもそも仕込みが終わっていないことに腹を立てたケン。
しかし年明け最初の営業日前日に仕込みをしたいという私の提案を却下して
とあたかも自分が正義であるような発言をしておきながら実際は休みたかっただけで
オーナーの前でカッコつけたケンが完全に原因なのです。
しかしこの時期店の鍵を預かっていたのはこの私。
オーナーに言って勝手に仕込みをしちゃえば良かったんじゃないかと猛省したのであります。
その後『無』になり決断
いろいろと考えてももう終わったこと。
私は紛れもなく仕事をクビになった男なのです。
暗くなるまで食事もせず完全に無になりました。
感情ゼロであります。
そして深夜24時。
私は決断しました。
オーナーと2人で飲みに行く
戦闘態勢⁉︎覚悟を決めたこの私
仕事クビになりました~
やっぱお前
おもしれぇな!
履歴書コピーしたいんやろ?
暇なときEglintonおいで
いつもお世話になっているエージェントの福岡さんに電話してみると、
でもそんなもんさ
次!次!
みたいな感じで励ましてくれました。
元気をもらいいつもの図書館で仕事探しを開始です。
そして夜までメールを送ったりして帰宅。
家に帰った瞬間電話が鳴りました。
まだまだトロントにそんなに知り合いはいないし、そもそも10人くらいしか電話番号を交換していません。
これはまさか早くも応募した店からの連絡か!?
前日クビになった店のオーナーからでした。
びっくりしすぎて言葉が出ません。
聞こえてるか⁉︎
今どこにいる⁉︎
昨日はなんかあったのか⁉︎
このオーナーはアメリカ生まれのアメリカ人ですが、人種はアジア顔であります。
英語しか話さず性格は完全にアメリカ人ですが、所々繊細でアジア人のような感じも伺えます。
そして何よりめっちゃ怖いです。(見た目が)
そんなオーナーから電話がかかってきてかなりキレてる感じなので、私は冗談抜きで殺されるかと思いました。
プーップーップーッ………
てかなんで家知ってるんや!
これは間違いありません。
オーナーは我が店のシェフであり、同じ人種であるケンを侮辱したことにかなりキレてるのです。
ヤバイです。
しかし私は家にいると正直に言ってしまいました。
絶対来ます!
家の中に入られたら終わりなので外で戦うしかない⁉︎
そしてついにオーナー到着。
電話が鳴りました。
出て来い
来た…
アホな私はいつものバナナくらい鮮やかな黄色ジャケットの内ポケットに、防衛のためにシャーペンとボールペンを武器として忍ばせて外に出ました。
更にいつでもポリスコールできるように『911』に一瞬電話をかけて履歴に残し、スマホはその画面のままであります。
※カナダの警察通報電話は911番。日本の110番みたいなもの
そして恐る恐るドアを開けると、めっちゃ小さい車に乗るオーナー。
こんなんとか
こんなん
に乗ってるイメージでしたが、実際はめっちゃ小さい二人乗りの車であります。
しかも超笑顔であります。
その姿は警戒しまくりで戦闘態勢だった私とは対照的に、まるで丸腰状態のプーさんのようです。
メシ食ってないだろ?
行くぞ!
なぜかペンを仕込んでいる私は、そのまま車に乗せられてオーナーと食事に行くことになりました。
この人はまともだった
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最終的にはベロベロ?オーナーとサシ飲み
有名らしいピザ屋にて
オーナーに連れられて『Ossington Street』にある“Pizzeria Libretto”というお店に来ました。
ピザを食べながら先日のことについて話し合いました。
我々が喧嘩した1月6日は年明け最初の営業日ということで、オーナーにとってはかなり大事な日だったらしいです。
オーナーの大事な友達や知り合いが来ていたらしいのですが、料理が出てくるのがとても遅かったように感じたと言われました。
ただなんでそれまで真面目に働いていたお前がいきなりサボり出したのかが気になったんだ
私はいつも全力っす
これは心外であります。
私は200%くらい本気で働いていたのです。
実はあの夜ケンと話したんだけど……
ちょっと注意したら暴言を吐いて暴れだしのでクビにした
そんなことしてな……
あの日お前が誰よりも働いていたことも
ケンの嘘つきも
あの日に何があったかを正直に教えてもらって
そしてお前は今後どうしたいか
最後にケンを許してくれるか
この3つを話し合おうと思って誘ったんだ
昔ヘロイン中毒だったところを俺が救ってやったんだ
血も繋がってないし地元が同じわけでもないが
あいつは俺のBrotherなんだよ
ケンを許してやってくれ!
そして!
俺の店に戻ってきてくれ!
戻っていいのなら!
もしろあなたのような人のもとで働きたいであります!
めっちゃ嘘をついているケンのことはかなりムカつくけど
オーナーが直接私のところへ復帰を求めて来てくれたのはとても喜ばしいことです。
酔っ払いすぎるオーナー
ピザ屋を出たあと、我々はオーナーの友達がやっているという小さなバーに行きました。
薄暗い中オーナーの友達がすすめる謎のブランデーを飲みます。
仕事について
私はまた仕事に復帰する上で、ケンと会うのがかなり気まずいということを話しました。
こんな事がありましたので…
ファッキンジャップ!
そこのクソメガネ野郎!
私はあんま英語分からんけどな
Fucking Japaneseくらい分かるんだよ!
その薄汚ねえメガネを触った後に食材触んな!
お前なんかおらん方がマシや!
キッチンから出て行け
シェフは俺だぞ?
シンは今日でクビで
もう明日は仕事ないよ
お前に戻ってきて欲しいと言っているが、気まずいそうだ
でも本当はお前の力が必要らしい
そして3人で話そう
ケンにも今日お前と話したことを伝えておく
きっと大丈夫だ
今回の事件はケンにとってもお前にとっても、そして俺や店にとってもとても重要なことだった
これまでここまで大きくモメることが無かったから
俺はキッチン内のことを知れて良かったと思っている
必ず全て良くなるはずだから俺に任せろ!
ということで完全に復帰が決まり、次の日店に行くことになりました。
私としては気まずい感じと仕事を失わなくて良かったという安心感でかなり複雑な気持ちであります。
しかしこの日私はオーナーのとんでもない大物感と優しさを改めて痛感し、この男の近くにいるのは間違っていないと判断したのでした。
トロントサイコー!
しかし少々飲み過ぎているように感じます。
特にオーナーは飲むとアツくなる系ダンディなのでなかなか話が終わりません。
結局オーナーはカウンターで爆睡。
私は20ドルだけ置いて歩いて帰りました。
1時間!
仲直りして仕事復帰
深夜2時帰宅後私は死んだように眠り,次の日の夜店に向かいました。
3人で話すって何時からですか?
とオーナーに連絡しましたが返事はありません。
「まあ店に行けばいるだろう」ということで行ってみました。
しかし!
そこにオーナーの姿はありません!
さらに!
そして3人で話そう
↑これもケンに伝わっていなかったらしく
え?なんで!?
うそ…ちょっと…
え?
と私の姿を見るなりテンパりまくるケン。
しかし喧嘩したのに何食わぬ顔で現れただけではただの感情なしサイコパス人間なので、前日にオーナーと話したことを伝えました。
そして仲直りしてまたお店で働きたいということを伝えました。
また前みたいに働きたいです
オーナーにも戻ってきてくれと言われています
私は自分でも大人になったな〜と思うほど、喧嘩後初対面とは思えないまともな発言と謝罪ができるようになっていました。
これは恐らくあのオーナーの人間の大きさに影響を受けたのと、ここで仕事を失うのはマジでヤバイという本能によるものかと思われます。
しかし成長のないこの男は
反省したんだな
偉いじゃないか
などと発言する始末。
もはや私はこのケンという男をまともな目で見ることはできなくなっています。
そしてその後私達の関係性は良好。
相変わらずサボり癖と偉そうな態度は変わりませんが、どんなに忙しくなっても暴言を吐いたり、ひとりで抜け出して消えたりすることはなくな離ました。
また【旅行記78】で書いたように、店がしんどいのでなかなか人が続かない中私は持ち前のタフさで余裕シャクシャク生き残り、いつの間にか古株のような立ち位置にいたのであります。
なので私はただの新人から、ケンにとっても店にとってもかなり重要な存在になってしまったのでケンが横柄な態度を取ることはありませんでした。
自分から謝って復帰を希望して良かったと思います。
ところであの日なぜオーナーは来なかったのか。
その理由は
あえて自分は顔を出さず我々の引き起こした問題を自分達だけで解決してもらい、今まで以上に絆を深めて店の中心となってより一層良い店づくりに励んでもらいたい
という意味合いは全くなく
ただ単純に飲み過ぎて『そんな話してたか?』とド忘れしていただけでした。
また私はオーナーと飲んでいるときに知らないうちにポケットの中で何度も911に電話をかけていたらしく、後日警察署から連絡が来て怒られたのでした。
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