タトゥーの修行ということでインドのゴアに滞在しています。
3年前に知り合った日本人女彫師のホリコさんと再会し、昼間は仕事見学夕方から夜は現地民に無料で彫りまくるという生活が始まりました。
そんなある日以前オーストラリアで知り合ったある男から連絡が来たのです。
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旅行記オーストラリア編▼
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きんにく君
オーストラリアの西海岸のバンバリーという町に住んでいた時、私はミートファクトリー(屠殺工場)で働いていました。
英語力が比較的高く、人事マネージャーの目に止まるような人間でなければなかなか採用されないほど倍率が高い工場でした。
meetとmeatのスペルも曖昧なほどのバックパッカー英語丸出しの私は採用される自信がまったくありませんでしたが、きんにく君というアメリカ留学済みの英語がペラペラの日本人と一緒に応募したため運良く採用されてしまったのです。
- [きんにく君]
しかしきんにく君はその巧みな英語力を駆使し過ぎたせいで初日にクビになってしまいました。
それ以降彼と会うことはなく、私は彼の存在自体を忘れかけていたのですが、SNSでアップした「おしんぽこインド中です」を見たきんにく君から連絡が来たのです。
お久しぶりです!
シンさんゴアにいるんですね?
じつはぼく今インドに住んでるんですよ
ムンバイで働いてるんで休みの日に会いに行っていいですか?
ムンバイに住んどるだと?
- [まあまあ近い]
彼と最後に会ったのは半年前のオーストラリアです。
人生いろいろだとは思いますが、あまりにも謎過ぎる彼の変化に興味津々です。
ワーホリ後の進路
一口に「ワーホリ」といってもそれはただのビザの名前なので、1年間の使い方やその後の進路は人それぞれです。
私のようなバックパッカーは「金稼ぎ」であることが多いので、ワーホリを終えたあとはまた違う国へ旅行に行きます。
きんにく君の場合、オーストラリアで1年生活したあとは就職したようです。
しかもその先がなぜかインド。
理由は「面白そうだったから」だそうです。
彼はその鍛えられた英語力を武器に、様々な言語の翻訳を行う会社のムンバイ支部で働いています。
ワーホリで海外へ行った人やワーホリ自体を真っ向から否定したような「無駄だ」「ただの遊びだろ」などの厳しい意見をよく目にします。
私はそうやってワーホリを完全否定出来るほどの立派な生き方をしているスーパーエリート軍団とは真逆の、ペヤング大好物系ろくでなし高卒貧乏バックパッカーなので、ワーホリはただの遊びだと言われても「はい、もちろんそうです」としか言えません。
しかしきんにく君のように「遊びながらも」しっかりと自身の強みを伸ばし、ワーホリを否定するレール乗っかり系の日本の労働者にも劣らない収入を得ている人もいるので、あまりワーホリ民をゴミ扱いしないで欲しいものです。
社内で唯一の日本人である彼はかなり重宝されているらしく、連日大忙しだそうです。
しかしそれでも海外なので土日祝は必ず休みだし、仕事を持ち帰るようなこともないとのことで、週末を利用してムンバイから10時間電車に乗って私が滞在しているゴアまで来てくれることになりました。
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地獄のインド列車に乗ってきた男
私はゴアのアンジュナというエリアにいます。
ムンバイからは列車に10時間乗ってThivimという駅で降り、タクシーに1時間乗ってやっと辿り着くことができます。
アンジュナはビルなどはまず無いようなほぼ「村」です。
唯一の交差点のような場所にある大きめのレストランで待ち合わせをすることにしました。
夜中にムンバイを出発し、寝台列車で来るとのことなので集合は朝9時です。
そして約束の時間になり、きんにく君からLINEが届きます。
LINEの文面からもマッチョさと元気さがうかがえます。
半年ぶりで話したいことだらけなので、ワクワクしながら彼の到着を待ちました。
そして見覚えのある顔が視界に入ります!
寝台列車でトラブルがあって…
結局一番下のクラスのパンパンの車両に乗ることになっちゃって…
もみくちゃでした…
乗車率300%…
10時間…もみくちゃでした…
ごめんきんにく君!
髪型しか気にならん!
きんにく君は三段寝台のSLというクラスの席を購入していたらしいのですが、乗車時に同じ席を予約していたと言いはるインド人おばちゃんとの口論に負け、タダで誰でも乗れる「GN」というみんなが想像するあのインドの列車に乗ってきたのです。
- [みんなが想像するインドの列車]
しかも10時間立ちっぱなしで一睡もできなかったらしく、かなり体調が悪そうです。
いつもはテカテカでムキムキの筋肉も、列車で揉まれたことにより幾分かしぼんで見えます。
なんか果物とか買ってこようか?
海とか行きましょうよ…
フラフラ…
せっかくゴアまで来たのだから飲みたいし遊びたいとのことで、アンジュナの隣にあるカラングートビーチへ行きました。
過疎まっしぐらのアンジュナとは大きく違い、こちらはものすごい量の観光客でビーチが真っ黒になっています。
なぜ真っ黒かというとこの時期のゴアは雨季で、外国人は我々二人くらいしかおらず観光客の99%はインド人だからです。
しかも基本的にビキニなど着ないインド人女性は、サリーのままびっしゃびしゃで海に浸かっているのです。

▼真っ黒ビーチ
- [左きんにく君 右おしんぽこ]
やっぱインドっすね…
これじゃなんにもリラックスできないっす…
もうイヤだ…
普段はムンバイの綺麗なオフィスで働いているきんにく君ですが、今回乗車率300%の列車を経験してインドの一般人のリアルな感じをはじめて体感しました。
肉体的にも精神的にもかなりのダメージを負っている彼は、ビーチにいるものすごい量のインド人を見てうんざりといった様子。
口には出しませんが間違いなくゴアに来たことを後悔しています。
だってこんなことが日常茶飯事なんですよね?
ぼくなんかより全然タフですよ
シンさんすごいっす
いやいやバックパッカーも同じ人間だし、私も普通にもみくちゃ列車はイヤですよ!
土曜日のこの日、きんにく君はアンジュナに1泊して次の日の日曜日にムンバイへ帰るという予定でした。
しかし月曜の朝からまた仕事なのでゴアでは体が休まらないし仕事に支障が出ると、この日のうちに去って行きました。
今度は無事に寝台の席で寝れることを祈るのみです。
でもわざわざ来てくれてありがとう
またどっかで会おうね
仕事が無かったらもうちょいいたかったんですけどね
私はよく日本人の友人から
「海外で生活しててすごいね」
「いろいろ大変でしょ?尊敬するわ!」
などと言われますが、全然そんなことはありません。
頭が痛かろうが睡眠不足だろうが、なんとしてでも自分の業務を全うする「ちゃんと働いている人」のほうが100倍すごいのです。
その髪型はなに?
やっぱ変ですよね…?
その後、彼のインド生活はたった6ヶ月で幕を閉じるのでした。
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