メタルちゃんのちょっとした発言から大きな衝撃を受けた私は、急にタトゥーを彫れる人になりたいと思いました。
思い立ったら我慢できない私はすぐにタトゥーの道具を一式購入しました。
さらに気付けばメタルちゃんまでもが彫り師を目指すという事態にまで発展。
- [メタルちゃん]
共通の目標を追う我々は今後どうなるのでしょうか。
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タトゥーの練習
皮膚の代用品
座ってお勉強というものが死ぬほど嫌いな私は、何か新しいことを始める時はすぐに実践します。
道具が揃った時点でタトゥーを彫りたい欲のボルテージはMAX。
しかし普通のお絵描きと違ってキャンパスは生きた人間の皮膚なので、そう簡単に練習台など見つかるはずがありません。
ということで私はスーパーへ行き練習台になりそうなものを数点購入しました。
豚の皮
これはタトゥーの練習用として非常に有名です。
一旦カチカチに凍らせて、熱湯で解凍するとかなり人の皮膚に近くなることが分かりました。
幸いいつものスーパーで豚の皮が品切れしていることはなかったので、毎日練習することができました。
ただすぐに腐ってしまうので本当に練習する時に解凍しないと異臭騒ぎが起こる原因となります。
フルーツ
特に良かったのはパパイヤです。
絶妙な弾力が皮膚に似ています。
しかしパパイヤ自体が高価であることと、そんなに美味しくないという理由から実際はバナナによく練習していました。
皮が分厚いので実の部分まで針が届かず、練習後も美味しくいただけるのです。
実際の彫り現場を見学
- [カミラ]
カミラというアルゼンチン人の女の子の友達がいて、彼女は私と同じくワンダーインに住みながらミートファクトリーで働いていました。
彼女はタトゥーマシンやその他道具一式を持っていてたまにまわりの宿泊者に彫っていました。
実際のセッティングの方法や細かい技術はいくらネットで調べても分からないので、カミラにお願いして仕事を見学させてもらうことにしたのです。
- [エディ]
以前ルームメイトだったエディの背中に彫るとのことなのでついて行きます。
やはり百聞は一見に如かずです。
それまでネットの知識だけで自己流で豚の皮に彫っていたのでかなり勉強になりました。
俺の背中貸してやるよ
えへへ
記念すべき第1号、私が最初に彫った人間の皮膚はエディの背中です。
ほんの数cmですが彫らせて貰えたのでした。
メタルちゃんと約束
ともに彫り師になろうと誓い合ったメタルちゃんですが、冬になり仕事を求めて一足早くバンバリーを去ることになりました。

毎日毎日タトゥーの話をしたり酒を飲んだりと本当に仲良くしていたので寂しい限りです。
彼女がバンバリーを去ってからも私は時間を見つけて練習を続けました。
彼女もまた絵を描いてはシェアしてと少しずつではありますがお互い目標に向かって進んでいます。
|ペンで描いてみたわ
メタルちゃんは仕事が決まるまで、私も以前滞在していたパースの「The Hive Hostel」 に住んでいました。
しかしついに新しい仕事が決まったらしく、パースを離れて北のParaburdooというへ移動するとのこと。
随分とへんぴな所を選んだメタルちゃん。
移動してしまったら間違いなく会うことはできないでしょう。
オーストラリアにいるうちに最後にどうしても会いたいと思い、私はバンバリーから車をかっ飛ばしてパースまで行きました。
バンバリーから2時間。
約4ヶ月ぶりのパースです。
久しぶり!
パースに戻ってきたの?
懐かしいメンバーとも再会しました。


無事メタルちゃんと合流して前のように酒を飲みながらダラダラ喋るのですが、話題はほとんどタトゥー。
お互い熱が冷めるどころか加熱する一方です。
悪ノリといえばそうですが、なんとお互いベロベロの状態でタトゥーを彫りあったのです。

優しくしてな…♡
私はお腹の下のあたり、彼女は腰に下手くそな小さい▼と▲を彫り合いました。
- [おしんぽこのお腹メタルちゃん作]
- [メタルちゃんの腰おしんぽこ作]
そしてこれから数年お互いに技術を高めて将来ふたりでタトゥースタジオをオープンする約束をしたのでした。
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そもそも私はバックパッカー
「彫りながら旅してみたい」
真っ先に思い付いたのはこれです。
『旅する〇〇』みたいな人はこれまで数え切れないほど会ってきましたが『旅するタトゥー彫れる人』は見たことがありませんでした。
マイノリティになりたい欲が人より強かった私。
これから最高の人生が始まりそうな気がして毎日気分が良い。
なんとなく生きていたのんびりとした生活に目標ができたことが何よりも嬉しいのです。
パースでメタルちゃんと別れてバンバリーへ戻り私は決断しました。
私の1年目のビザは間も無く終了します。
多くの人がセカンドビザの取得後そのまま連続でオーストラリア2年目をスタートします。
2nd Working Holiday Visa
通称セカンドビザ。
オーストラリアのワーホリにのみ適用されるシステムで、政府指定の農場や工場で88日以上働くともらえる2年目のワーホリビザのこと。
しかし私は1度帰国してタトゥーの修行をしたいと思いました。
やはりいくらネットで調べてもタトゥーに関する情報や細かい技術に関する知識は得られないので、誰かに会って教えてもらいたいのです。
ということで日本の彫り師5人にSNSを通じて連絡してみたのですが、返事が来たのはふたりだけ。
そしてそのふたりは口を揃えてこう言いました。
『29歳でイチから?遅過ぎるのでお断りします。』
どうやらほとんどの彫り師は10代や20代前半からキャリアを積んでいるようです。
彫り師の知り合いなどひとりもいない私はどうしようかと考えたのですが、ひとりだけ心当たりがありました。
旅行記では書いていませんでしたが、アジアを旅行していた時にじつは小さいタトゥーを入れていました。

イチカバチかその時のアーティストに会いに行こうと思ったのです。
連絡先も何も知りませんでしたがもうその人しかいないと思い、急遽目的地を変更!
その目的地とは!
インドです!
蘇ります!
カレー地獄!
24Hクラクション!
野良牛!
うんこロード!
そしてギョロ目のインド人!

何もかもがめちゃくちゃで、あれほどまでに嫌いだったインドにまた行くことになってしまいました。
うひひ
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