セカンドビザ取得のためにBunbury-バンバリーという町を拠点にファームジョブを探しています。
パースで買った愛車を飛ばしてDonnybrook-ダニーブルックへ行き一旦は仕事が決まったのですが、あまり乗り気になれずキャンセル。
未だに無職です。
私が泊まっているワンダーインというイケてる宿でミートファクトリー(肉の屠殺工場)の仕事情報を得たのですが…。
前回▼
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ミートファクトリーってグロいの？
前回Donnybrookへ行き、仕事を探しているこの時期(2月)がもはやファームのシーズンではないということを知り途方に暮れる私。
拠点にしているワンダーインの宿泊者に引き止められて仕事探しは振り出しに戻ります。
▼仲がいいメンバー
優しくていいメンバーに囲まれて幸せな毎日を送るのは良いのですが、いつまでもそんなことを言っていられないのです。
2nd Working Holiday Visa
通称セカンドビザ。
オーストラリアのワーホリにのみ適用されるシステムで、政府指定の農場や工場で88日以上働くともらえる2年目のワーホリビザのこと。
つまり時間がないのです。
もうこの際この素敵な宿ワンダーイン、そして美しい町バンバリーを離れて仕事を求めて北に行くことも視野に入れています。
そんな中どうぶつくん、スネオ、カズユキの３人がミートファクトリー(食肉工場)で働いていることを知り興味を持ちました。
グロいの？
はい無理〜!!
その昔、私は日本で料理人をしていたことがあります。
和食屋で働いていた時は活きているデッカイカンパチやブリをおろしていました。
腹に包丁を入れると内臓がドロドロ出てくるし、頭を落としても動くので鳥肌が止まらなかったのを覚えています。
回数を重ねるうちにもちろん慣れていきましたが、それでもその店で働いていた時期は生の魚を拒絶してしまったほどに私はグロいものが苦手です。
さらにそれが牛の内臓となると、想像しただけで大根がおろせるほど鳥肌が立ちます。
ラムだね
俺のポジションは後半で内臓も無い、血もない、頭も皮も何もない肉の塊だよ
お腹の内側に脂肪がたまってるからそれをこそぎ落とすだけの仕事
スネオは？
映画のロッキー見たことある？まさにあれさ
カズユキよりもうしろ、ほぼ最後尾のポジションでチルド室に肉を押し込む仕事だよ
どうぶつくんの牛の内臓はグロすぎて想像すらしたくありませんが、他のふたりの仕事は聞いている感じ大丈夫そうです。
私もちょっとミートファクトリーで働いたことあるけど、私がやってたんは全身真っ白の服着させられてBorning Room(ボーニング:骨を外す工程)ってやつ
あそこはもうほんまにスーパーに並ぶ肉って感じやったで
私はラッピング係
まあ二日酔いで仕事中寝てもうてクビになったけど
うふふふ
グロい仕事はなるべくしたくはありませんが、みんなの話を聞いて私はミートファクトリーに興味を持ちはじめましたす。
何故ならそこは大きなちゃんとした会社なので、日数さえクリアすれば間違いなくセカンドビザが取れるからです。
また時給がなんと24.5ドル=2,100円（2016年当時）というとんでもない高さなのです。
しかしビビリの私は未だ悩みに悩んでおります。
覚悟を決めてミートファクトリーへ
相変わらずミートファクトリーに面接に行くのを躊躇しています。
やはり「グロそう」というのと「しんどそう」というのが大きいです。
きっかけ待ちのだらしない私は相変わらずネットで仕事情報を検索するのみです。
そんな時に最近ワンダーインにチェックインして来たきんにく君という日本人から声をかけられました。
- [きんにく君]
ミートファクトリー行くなら僕も面接に行きたいんですけど
連れて行ってもらえませんか？
「きっかけ」が来た！
運転だけでもいいんで！
ガソリン代も少し払いますし！
正直食肉工場で血まみれになりながらのグロ仕事などまったくやりたいとは思いません。
しかしもういい加減何かしらの仕事を始めないとセカンドビザの日数カウントが間に合わない。
そしてシドニーでの仕事を辞めてからだいぶ働いていないし、車も買ってしまっているのでそろそろ金銭的にも余裕が無くなって来ているのです。
そしてこのタイミングで筋肉モリモリの男からの誘い…。
これはワーホリの神が、いや肉の神が肉工場で働けと私に示しているのでは⁉︎
明日行くぞ…！
よろしくお願いします！
ついに私はファームジョブを探すことを一旦やめて、ミートファクトリーへ挑戦することに決めたのでした。
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V&V Walsh
バンバリー周辺には多くのミートファクトリーが存在します。
私ときんにく君はV&V Walshという会社へ面接に行くことになりました。
すでにそこで働いているどうぶつくんやカズユキに聞いてみたところ、V&Vで仕事をゲットするには直接行くしか無いそうです。
流れとしては朝6:00前にしれっと従業員用駐車場に侵入
▼
車を降りたら多くの従業員が歩いているはずなので彼らについていく
▼
従業員控え室兼食堂に到着するので、室内にある人事事務所前のテーブルで待つ
▼
若干不安ではありますがみんなこの方法で仕事を得ているようです。
▼詳しくはこちら
[5:45]
きんにく君とふたりでミーファクトリーに到着しました。
言われた通り事務所のような部屋のドアの前の椅子に座ります。
他にも４〜5人仕事を求めて同じテーブルに座っています。
間も無く6:00になろうというところ、聞き覚えのある声で私の名前を呼ぶ声が。
Kinniku kun!
いや誰？
食肉工場の作業員なので帽子とマスクをしているカズユキとスネオ。
どうぶつ君はフロアが違うのでみんなより先に仕事場へ行ったようです。
だっせぇな
英語ムズイ問題
カズユキとスネオから激励を受けて緊張がほぐれて来た時、事務所のドアが開きシャキッとしたおばちゃんが現れました。
Good morning guys！！
ペラペラペラ…！
ぺ〜ラペラペラ！
7人全員に紙を配ったあと、物凄いスピードでオーストラリア英語を話す彼女。
ハッキリいってほぼ聞き取れません！
最後にいくつかアンケートがあるからそれにも全部記入して、終わった人から随時面接をするそうですよ
筋肉バカじゃなくて筋肉かしこいだったとは！
29歳の私に対し彼はまだ24歳。
めちゃくちゃ英語堪能で尊敬しかありません。
26歳から海外に行きはじめ、特に勉強することなく旅先やワーホリでなんとなく英語を学んだ私の英語力とは雲泥の差があります。
やっぱ若い時に学ぶと身になるんですねぇ、と感心したのも束の間！
マジの大ピンチであります！
聞いたり話したりはなんとなく出来る私ですが、読んだり書いたりは正直さっぱりだったのです！
Meet!?Meat⁉︎どっち？
え？そのレベル!?
これどういう意味⁉︎
答え教えて⁉︎
これは⁉︎これは何書けばいいの⁉︎
きんにくくん！
きんにくさん！
きんにく様！
きんに君！
彼を連れてきて本当に良かったです。
面接でまさかの展開に
きんにく君のおかげで無事書きものが終わりました。
次は面接です。
書類をおばちゃんに渡し面接開始。
なんと私が1番目、きんにく君は2番目になりました。
Come inside!
おばちゃんの他にふたりが座っていました。
提出した書類をチェックしながらおばちゃんが口を開きます。
今日は朝早くからありがとう！
サクッと質問して終わるからね？
(ドキドキ)
いい名前だね
あっはっはっは
(足のスネをポンポン)
※Shin=スネ
ひと笑い取れてちょっと嬉しい私。
きつい仕事だけど大丈夫？
自信あります！
(ホントはあんまり！)
ナイフ使える？
肉を切ったり…
これはかなりの好感触です！
やはり刃物が使えるというのはポイントが高いのでしょう。
何かスポーツやってた？
Samuraiのやつだよ
日本の伝統的なあれさ！
スポーツサムライ！
ミートファクトリーの仕事は肉体労働なので、体力のほかに忍耐力や集中力などを考慮するためにスポーツの経験の有無を聞いているのでしょう。
あいにく剣道は有名ではありませんでしたが、全体的に手応えを感じました。
あとは結果を待つだけ…
と！その時！
俺日本のマンガが好きなんだけど「るろうに剣心」を知ってるか⁉︎
その長い髪、剣道プレイヤー、さらには名前がShin…
お前ケンシンじゃねぇか！
※剣心＝るろうに剣心の主人公
ちょっと剣道見せてくれ！
※剣道にこんな動きありません
iPhoneを剣に見立てて、だいぶ剣心に寄せた剣道に無い構えと振りかぶり！
そして空気を斬ります！
※剣道にこんな動きありません
すげー！
すげー！
拍手喝采で私の面接は無事終わりました。
小学校から高校までやっていた剣道ですが大人になって初めて役に立った瞬間です。
刀(iPhone)を鞘(ポケット)にしまって退出。
結果発表
この3人中に入って登録するよ！
ほかのの4人はまた今度きてちょうだい！
以上！
合格だ！
エア剣心が高評価だったのか、単純に順番で決まったのかは分かりませんがふたりとも採用されてしまいました！
きんにく君は筋肉を評価されたのでしょう。
もうひとりリムという男が採用され、我々3人は2日後から仕事を始めることになりました。
クイーンズランドで思い切って決断して西海岸まで渡ってきて、思い切って車を買って、ついに私は仕事をゲットしたのです！
名前がシンで良かった…
ロン毛で良かった…
前回▼
次回▼
剣道のくだり面白すぎます笑
私もまさしく今ワンダーインでミートファクトリーにアプライ中なので、想像つきすぎました！参考になる&面白いエピソードありがとうございます笑