バンコクからここヴァンヴィエンまでの旅をともにしたアロハ君とニコン君とついにお別れした前回。
シズちゃんとふたりになってしまいましたが、新たなキャラ+おにぎり君が登場し、今後の旅も楽しくなりそうです。
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ナムソン川沿いのハンモック
ほぼ毎日雨が降っているヴァンヴィエン。
雨季ど真ん中に来てしまったのでしょうがないのですが、それにしても降りすぎです。
しかし日本の梅雨とは違い、降っている時間は短めです。
雨が止んだら外に遊びに行くのですが、食事でカフェやレストランに行く以外は特別な場所も無いため私はナムソン川沿いのハンモックがある場所によく行っていました。



この日は昼過ぎから晴れたのでシズちゃんとおにぎり君と3人でハンモックに揺られながらのんびりビールを飲みます。
私ここ好きだよ
いつもダラダラしている私とシズちゃんとは対照的に、おにぎり君はいつも元気でちょっとウザいくらいです。
どうやら長時間のんびりできないらしく、ハンモックをブランコのようにして遊んでみたり、その後バースタッフに怒られたりしています。
そんなおにぎり君が大変興味深い提案をしてきました。
そこのおふたり!
『チュービング』って知ってますか?
知ってるよ
ギターとか楽器の音を合わせるやつでしょ?
合ってないと弾いてる時に気持ち悪いですからね!
6弦からEADG…
ってそれチューニング!
ちょっとちょっとぉ〜!
みんなでバイクで出かけるやつだよね
途中で道の駅なんか寄っちゃってね、間違ってビール飲んじゃって酔いが冷めるまで出発出来ませんよ〜なんつって!
ってそれはツーリング!
もう〜ちゃんとしてくださいよ〜
ちょい高いけどあそこの立体に停めちゃうか〜
試合前に足首を…テーピング!ダイエットは歩いた方が良いよね…え〜っと…ウォーキング!頭痛い時はこれだよね…それなんですか!?
おにぎり君が言っているチュービングとは、ダンプとかバスみたいなでっかい車のタイヤの中のチューブを浮き輪として使い、それに乗って川下りをする遊びです。ここヴァンヴィエンではナムソン川でのチュービングが有名なのです。
明日それやろう!
そんな遊びがあるなんて全然知らなかった我々はおにぎり君の提案により次の日の朝からチュービングツアーに行くことにしました。
これまでは気づきませんでしたが、ヴァンビエンの街中を歩くとそこら中にチュービングをやってる店があったのでさっそく予約しました。
値段は60,000LAK(キープ)=700円ちょい。
そうだ!
明日のためにサプリメントと栄養ドリンクがぶ飲みしとこ!
ホルモン注射も忘れずに
体力つけなきゃ!ステロイドも打ったりしちゃって!
いやそれはドーピング!
いろんな色があって綺麗なんだよね
せめて最後は 「ング」 でおなしゃす!
そんなこんなでチュービング楽しみです。
チュービングのヤバい噂
じつはヴァンヴィエンのチュービングではめっちゃ死者が出ています。
アクティビティ自体が危険なわけではなく、ドラッグや飲酒でベロベロになったままチュービングをやってしまい、そのまま下流まで流されて死亡するという事故があったらしいのです。
※ヴァンヴィエンはヒッピーに人気の町なのでそれっぽい人がいっぱいいます。ドレッドヘア上半身裸系・痩せこけ欧米人旅行者が多いです。

2011年に20名以上の死者を出したことにより、いくつかのバーは閉鎖されてチュービングツアー自体も取り締まられるようになったらしいのですが、我々が行った2015年はツアーもバーも営業していました。
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ドキドキのチュービング体験
出発!そんなに飲んで大丈夫…?
街の中心部からチュービングのスタート地点までは距離があるので、軽トラの荷台に同じツアー客の7〜8人くらいで乗り合わせて川の上流へ向かいます。
▼スタート地点はここ

車内は我々3人以外はみんなヨーロピアンです。
彼らは友達同士とかではなく皆バラバラで乗り合わせたらしいのですが、陽気でフレンドリーな人ばかりですぐに打ち解けました。
ふぅぅぅ〜!
その中のひとりの女性が荷物から満タンのウィスキーのボトルを取り出しました。

みんな飲もうぜ〜
そうそのまさか。
ヤバい噂を聞いたばっかりなのに『ウィスキーの回し飲み』が始まってしまったのです。
そこの3人も一緒に飲もうぜ!
おにぎり君、シズちゃん!
やめとこ…
ゴキュゴキュッ!
うぃ〜♡
ラッパでいかしてもらいます!
ゴクゴクッ!
くぅ〜染みる〜!
私の忠告も虚しくふたりは嬉しそうにウィスキーを言われるがまま飲んでしまいました。
おにぎり君にいたってはラッパ飲みしながらボトルをラッパに見立てて指をピロピロして一同の笑いまで取る始末。
ツアーの店からチュービングスタート地点までは約15分の移動ですが、その間に軽トラのメンバー8人ほどで1本のウィスキーを飲み干したのです。
こういう輩がいるから危ない事故が起こるんだよ
うぃ〜酔うた…
おしんぽこ死にかける
スタート地点に到着しました。
若干ほろ酔いのアホな我々ですが、天気も良く気分はサイコーです。
スタートする場所から水面までは1mくらいあり、ひとりずつ準備されたチューブに飛び乗ってチュービング開始というシステム。

ザブーン!!
うわ〜気持ち〜!
ザブーン!!
サイコー!
しんくんも早くおいでよ〜

勢いよく飛び込んだおにぎり君とシズちゃんに私も続きます。
ふたりが簡単にチューブを乗りこなすところを見て軽い気持ちで飛び込んだのですが…。
ドボンッ!!

飛び込んだタイミングで両腕をチューブに引っ掛けることができなかった私は!
そのまま貫通して勢いよく水中の中に沈んでしまったのです!
私は本来なら泳げるし、飛び込みもできます!
昔から水が怖かったことなどないのですが、それは気持ちの準備をしているからなのです!
ほろ酔いで、シズちゃんにデレデレして、完全にナメきった状態で予想していなかったことが起こると人は大パニックになります!
もがけばもがくほど上がってこれません!
これが『溺れる』というやつです!
(し…死ぬ!)
(これはマジで死ぬ!)
なんとか心を落ち着かせて浮き上がりましたが、鼻から大量の水を飲んだ私は声を発せないほどの苦しみを味わいました。
すごいテンション上がってんじゃん!
ここ飛び込み場じゃないんだよ〜
しんさんいきなり笑いとりにいってますね〜!
サイコーっす!
(声が出ない!)
(私が溺れてたことにみんな気づいてなかったのか…!?)
おにぎり君死にかける
私が溺れていたことは日本人のふたりはおろかツアーのスタッフさえも気づいておらず、私はただふざけただけの人ということでチュービングが始まりました。
時期は7月。
ラオスは雨季真っ只中ですが、この日は非常にいい天気で我々はかなりついていたといえるでしょう。
しかしそれでも雨季なので、場所によっては(カーブなど)川の流れが思っていたよりも速いです。
散り散りにならないようにお互いのチューブに軽く触れて、なるべく離れないようにプカプカ川をくだっていきます。
離れるとおしゃべりもできないし、川幅もかなり広いので再び近くへ行くことも難しそうです。
これは浮かびながら酒飲んでそのまま流されて死んじゃった人の気持ち分かるわ〜
とんでもないことを口走るシズちゃんですが、確かにこんな環境で飲むビールは確実に美味いだろうなと同意です。
水蜘蛛の術!
ザッブーン!!
ぬあ〜っ!
無念でござる!
『水蜘蛛の術』という忍者が水面に立つやつをチューブでやりたいらしいおにぎり君。
なるべく大きく離れないように近くで流れていたのですが、この男はすぐにわけのわからないことをしはじめて、気づけば私とシズちゃんから30メートルくらい離れてしまっているのです。
なにやってんだよ
おおおおおお!?
私は気付きました。
おにぎり君がかなり危険な方向へ向かっているのです。

私とシズちゃんはカーブの内側にいるのでかなりゆっくりと進んでいます。
しかし30メートほどの遅れをとるおにぎり君は忍法に夢中になり過ぎて変な流れに乗ってしまい、大きく外側に流されてしまっているのです。
▼内側と外側の流れの速さの違い
カーブの内側と外側は異常なまでにスピードが違います。
ましてやこのナムソン川の川幅であればなおさらです。
その速さは具体的に時速では表せませんが『結構ヤバいスピード』だと思ってください。
そして大木が川へ向かって激しく倒れている所におにぎり君がもの凄いスピードで突っ込んでいます!

あぶないよ!!
ヤバいです!
30mも離れると声もなかなか届きません!
ぶへあっ!
しかもまだ忍法をやっているおにぎり君はまだ自分のピンチに気づいていません!
そして結局…

バキバキバキッ!
痛〜〜い!
乱世!乱世でござる!
なんとか途中で合流してチュービング終了。
おにぎり君の上半身は可哀想なほどに傷だらけになってしまいました。
シズちゃん死にかける
チュービングの終了ポイントには数名の引き上げスタッフが待機しています。
空のペットボトルにロープをくくり付けたものを陸から投げててもらい、それを掴むとあちらが引っ張ってくれるシステムです。
しかし最後の最後にハプニング発生!
なんとそのペットボトルを何度もつかみ損ねたシズちゃんはゴールできずにそのまま川の流れに乗ってゴール地点よりも下流へ流されてしまったのです!
ちょっと!ちょっと!
これマジでやばくないですか!?
おにぎり君の言う通り、本当にヤバいです。
なぜなら現地人の引き上げスタッフがマジで焦っているからです。
助けてよぉ〜!
そのひも付きペットボトルはどうやら2本くらいしか無いらしく、1回投げるとその長いひもを手繰り寄せるのにまあまあの時間がかかってしまいます。
何度もつかみみ損ねて何度も手繰り寄せてを繰り返しているうちに、シズちゃんはかなり遠くまで流されてしまいました。
おそらく次の投球でシズちゃんがペットボトルをキャッチできないと見えないところまで流されてしまいます。
さっきまでヘラヘラしていた現地人の引き上げ親父も、まるで九回裏二アウト満塁一打逆転のピンチを押さえるピッチャーのような真剣な顔付き!
シズちゃんはほぼ泣いています!
おりゃああああぁぁー!!
ヒュウゥゥ〜…
…
…
バコッ!!

勢い付き過ぎたそのペットボトルは思いっきりシズちゃんの顔にヒットし結局失敗しました。
その瞬間停めてあったモーターボートにエンジンがかかり緊急出動。
何とかシズちゃんは生還するのでした。
いくつかハプニングが起きましたがかなり楽しい体験でした。
今回のように雨季は流れが速く1時間ほどで終わったと思います。
乾季は逆に水量が少なく、流れも遅いのでゴールまで4時間くらいかかるそうです。
と思いましたが、日差しを浴びながら水面にいるのってけっこう体力を奪われます。
正直大人は1時間で十分です。
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