世界各地を旅行するバックパッカーですが、たまに見かける典型的なアレな人。
私はそれをバックパッカー妖怪と呼ぶ。
今回は世にも奇妙な『アリジゴク妖怪』の話。
はたからから見れば大変ご迷惑な妖怪でありますが、気付いたらあなたも…。
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その姿まさに蟻地獄
蟻地獄-(アリジゴク)とは?
ウスバカゲロウの幼虫のこと。
体長約1センチ。
鎌(かま)状の大あごを持ち、乾燥した土をすり鉢状に掘って巣を作り、底にひそんで落ちてきたアリなどを捕食する昆虫です。
ではバックパッカーのアリジゴク妖怪とは何なのか?
基本的に性別はオス。
日本人宿の共有スペースなどでじっと若い女性客が来るのを待つおじさんです。
基本的には無口でおとなしく、男性から話しかけられても無愛想で感じが悪いのが特徴。
しかし!若い女の子が現れた瞬間スッと立ち上がり仕掛けるのです!
安くて美味しいタイ料理屋さんあるけど教えてあげようか?
あれだったら一緒に行く?
御馳走するよ
じゃあお願いします!
ぐふふふ
このように巣(日本人宿や日本人に人気の安宿)でじっと獲物を待ち続け、獲物(若い女性初心者バックパッカー)が迷い込んできた瞬間に狩りに行くその姿はまるで蟻地獄なのです。
アリジゴク妖怪の特徴とそうなった原因
30歳くらいから50歳くらいの男性です。
旅慣れている人が非常に多く、過去の海外での武勇伝を語りがちです。
人間的魅力としてはルックスも内面も『低め』な人が多く、基本的には異性からも同性からもけむたがられています。
なぜそうなってしまったのか?
彼らは日本では恋愛対象として除外されてしまった人たちなのです。
何歳になってもモテる人はモテますが、そういう人はだいたい魅力的な武器を持っています。
- 圧倒的な経済力
- 誰しもが羨む容姿
- 他の追随を許さぬコミュニケーション能力
- 飛び抜けた何かしらの才能
何かひとつでも持っている男は少なくともそれが魅力となり、興味を持たれて恋愛に発展することもできるでしょう。
大人になり簡単に若い女性との関わり合いを持てなくなった場合、上記のような武器が少なからず必要となるのです。
ではアリジゴク妖怪の武器とは?
それはただひとつ「バックパッカー旅行における海外の知識」です。
バックパッカー旅行では情報が命ですが、彼らのような旅の経験が豊富で物知りな人間はかなり重宝されていました。
- お得情報
- ビザ情報
- 危険地帯情報
- 面白スポット
その他多くの情報を持つアリジゴク妖怪は若い初心者バックパッカーから尊敬の眼差しで見られ、時にはそれが大きな魅力となっていたのです。
また現地で知り合った異性のバックパッカー同士で移動して、その先で同じ宿に泊まるということはよくある話ですが、そういう旅慣れた人間がいると初心者バックパッカーにとってはかなり心強いでしょう。
しかしインターネットの発達により彼らアリジゴクたちの需要は無くなってしまいました。
- 地球の歩き方
- 現地の旅ノート
- 旅慣れたおっさん
それまでの『旅情報の三種の神器』は現代では完全にインターネットに劣る浅い情報源となってしまったのです。
それまでは自慢気にマニアックな知識を披露してはリスペクトされていた彼らも、ネットを駆使する現代のバックパッカーにとってはただのウザい人となってしまいました。
〇〇マーケット行くと半額で買えるんだよ
良かったら僕がついて行ってあげようか?
誰でも知ってますよ?
なんかのブログで見ました
普通にみんな知ってます
あ…あと…
ここから空港まではだいたいタクシー〇〇円くらいだから
ぼったくられないように気を付けてね
物価上がってるんでそれじゃタクシー乗れませんよ
てか私はUber使うんで大丈夫です
私はひとりで大丈夫なんで!
調べればわかることなんで!
聞いてないんで!
チッ…今時の若いもんは…
世に蔓延るアリジゴク妖怪には勝負できるものが「ちょっと前までは有効とされていた過去のバックパッカー旅行の知識」しか無いので、それが無意味となってしまった今はただの鬱陶しいおじさんになってしまったのです。
つまり過去の栄光を忘れることができず「ひょっとしたら」に懸ける悲しい妖怪なのです。
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アリジゴク妖怪の生息地

基本的には世界中にある日本人宿です。
また日本人経営ではなくとも日本人がよく集まる宿もそのひとつ。
アリジゴク妖怪が多い国や街
- タイ(バンコク)
- インド(デリー、バラナシなど)
- エジプト(ダハブ)
- ボリビア(ウユニ )
- メキシコ(メキシコシティ、カンクン他南部)
- グアテマラ(シェラ、アティトラン、アンティグア)
- ペルー(クスコ)
- モロッコ(シャウエン)
- カンボジア (シェムリアップ)
人気の旅行先には必ずアリジゴクがいるといっても過言ではありません。
あなたも気付けばアリジゴク?
女性陣は男が思っている以上に観光をしたいと思っているし、男が思っているほどバックパッカー男を魅力的に思っていません。
また女性にとって宿での旅行者同士の馴れ合いは『旅のおまけ』に過ぎず、そこで本気になられても…と思っています。
しかしほぼすべての男性旅行者はあわよくば女の子と知り合いたいと思っているし、むしろそっちがメインで海外を旅している人もいるかと思います。
目を閉じて胸に手を当ててちょっと天を仰いで素直に自分を見つめなおしてみると分かります。
カラフルなお寺の写真を撮ってインスタにUPすることが、旅の目的だと素直に言えますか?
少なからず旅先での出会いとハプニングを期待しているはずです。
あわよくばの下心が無い男などほぼ存在しないのです。
そしてその思いが強ければ強いほどあなたはアリジゴクへと進化していくことでしょう。
最初は純粋にそういう場でビールを飲んで現地で知り合った人たちとワイワイするのが楽しかっただけだったのが、気付いたら用事も無いのに日本人宿へ居残り女の子がチェックインしてくるのを待ちはじめます。
そして慣れ親しんだその街のディープな情報を武器にうまく女の子をゲットしてともに次の国や街へ出かけるのです。
これはもう新世代のアリジゴク妖怪・NEOアリジゴクと呼んでも過言では無いでしょう。
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アリジゴク妖怪を回避したい人へ

女性旅行者にはもちろんのこと、同性である男性旅行者にとってもアリジゴクは時に迷惑な存在です。
彼らはなんたって暇なので、純粋に旅行を楽しみに来ている若者にもガンガン絡んでくる場合があります。
そして決まってするのは過去の武勇伝、海外風俗情報、ドラッグ関係の話。
興味が無いのに自慢気に語られても…と思いませんか?
回避するにはまず日本人宿に泊まらないことが一番ですが、日本人宿というものは比較的安全で非常に落ち着ける場所なので、使わない手は無いと私は思っています。
しかしそこにはアリジゴクがいます。
ではどうしたら回避できるのか?
アリジゴクの回避その1
最初から関わらないこと
日本で知らないおじさんに話しかけられたらどうでしょう。
気持ち悪いしなんか怖いです。
「それは海外でも同じですよ」
「海外だからって馴れ馴れしくしないでください」
という気持ちでガッツリ無視してしまいましょう。
アリジゴクの回避その2
相手より優位に立つような会話を心がけること
旅慣れたアリジゴクおじさんと会話する場合、気付いたら一方的に昔話や旅情報をベラベラと話されて聞き役に徹してしまいます。
そうなってしまうともう手がつけられません。
だってこちらは「バックパッカーとしての経験値」では絶対に勝てないのだから。
そういう状況の時はまず自分の得意なほうに話を反らします。
何でも良いです。
アリジゴクがあなたに「勝てない」部分です。
アリジゴクたちは若さゆえの楽しそうでキラキラしたものが眩しくて焦点が合わない人がほとんどなので、大学での楽しい話、夢や希望の話で黙らせることができます。
アリジゴクの回避その3
強めに否定する
彼らアリジゴクたちは「バックパッカーはこうでなくてはいけない」という持論を持っている場合が多いです。
- 安ければ安いほどいい
- 荷物は少ないほうがいい
- 現地の文化に合わせるべきだ
- 予定なんて立てるもんじゃない
などなど
ほかにも事細かくゴチャゴチャ言ってきます。
以前はそうだったのかもしれませんが、普通に考えて自分の金で遊びに来ているんだから勝手にやらせて欲しいと思いませんか?
そういう時は彼らの持論を真っ向から否定しましょう。
楽しいの?それ
ダラダラするくらいならしっかりと記録を残しておいたほうがあとからも見返すことが出来るので!
馬鹿だね〜普通はバスで行くでしょ!
ほんともったない
時間のほうが貴重なので、来るかどうかも分からないバスを待ってるほうがどうかしてます
今のこの時間も無駄だと判断したので部屋に戻りますね
どうせ汚れて捨てちゃうんだから
海外じゃ誰も君のことなんか見てないよ
いひひ
いつどこでデートをするか分からないし
服装の乱れは自身への諦めだと思っているので、あなたのようにみすぼらしい格好はできません
アリジゴクたちは基本的にガラスのハートなので強めに自分の意見を言うのが良いでしょう。
アリジゴクのあなたへ
もし「自分もそうかも」と思ったらまず変な期待はしないことです。
相手にではなく自分にです。
「海外でならまだまだ自分はイケるかも」という期待をしないでください。
海外で知り合ったとしても相手が日本人なら日本で会ったのと同じように接することが第一です。
私も以前「ひょっとしてこれって自分も…」と気付いたことがあります。
その時の彼女がバンコクで知り合っていたこと。
特に用事も無くタイに行っていたこと。
そして観光やアクティビティなどには興味を持たず一日中宿でダラダラしていたこと。
その事実に気付いた時に私はゾッとしました。
それから私はアリジゴクの大生息地である東南アジアに行くことを3年間やめました。
それ以降一度だけバンコクに行っていますがそれは帰国のためで日本人宿にすら泊まっていません。
なぜならアリジゴクだと思われたくなかったからです。
それほどまでにアリジゴクは愚かで醜いものであると私は思いました。
しかし「絶対にアリジゴク活動をするのはやめましょう!」と言っているわけではありません。
それもまた旅のスタイル。
多様化しているバックパッカーのスタイルのひとつとして間違い無く存在しているし、その人の人生です。
自分が楽しいことをするのが一番なので、ここで『バックパッカー妖怪アリジゴク』というものを全否定するという行為はまさにアリジゴクがやっていることと同じですから。
以上バックパッカー妖怪『アリジゴク妖怪』の話でした。
旅行記もよろしくです。
