彼女のシズちゃんとオーストラリアでワーホリ中。
オーストラリアのセカンドビザを取得すべく、悪名高きファームの町、クイーンズランド州のバンダバーグに到着しました。
気合は十分。
やる気満々で飛び込んだ先で初日に言い渡されたのは
明日から4日間休みで
毎日雲ひとつない青空の中、我々だけ休まされ他のメンバーは仕事に行くという事態が発生。
車持ちのハウス管理者が仕事をエサに家賃要員を集めているという罠にまんまと引っかかってしまいました。
はたして仕事はもらえるのでしょうか。
そしてセカンドビザを取ることは出来るのでしょうか。
前回▼

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プランティング(苗植えの仕事)
初仕事
4日間強制的に休まされて、バンダバーグの田舎町にもだいぶ飽きてきた5日目。
ついに朝から仕事に行けるようです。
家主の口ひげチャラ坊主とハウスメイトのガチャピンとタカギ、そして私とシズちゃんの5名でファームへ向かいます。
ハウスメイト
- [クチヒゲ]
- [ガチャピン]
- [タカギ]
[朝4:30]
クチヒゲのチャラ四駆にみんなで乗り込み出発。
バンダバーグの町から時速100kmほぼノンストップのまま約1時間で到着。
といっても過言ではないほどに町から離れています。
普段はトマトとかのピッキングがメインなんですけど今日は珍しく時給の仕事っす!
シンさん、シズさん初日からついてますね!
クチヒゲが言うには、収穫したらしたぶんだけもらえるトマトピッキングの仕事よりも、時給の仕事のほうが稼げるらしいのです。
つまり普段の歩合制の仕事は相当頑張らない限り稼げないのでしょう!
[朝6時]
薄暗い中思っていたよりもかなり狭い、何も無い畑に連れて行かれました。
暗くてよく見えませんが、30〜40人の若者が集まっています。
言葉を聞く限りほぼ全員日本人か台湾人のワーホリのようです。
この日はプランティング(苗植え)の仕事をやるとのこと。
- 穴あけ部隊
- 苗を落として行く部隊
- 苗を穴に植えて行く部隊
の3部隊に分かれました。
我々チーム・クチヒゲの5人は3番の植えて行く部隊に配属されました。
認められたらまた時給の仕事もらえるかもっすよ!
やったりましょう!
がんばるぞ〜!
今日泥まみれ確定じゃん
やる気満々のクチヒゲとは対照的にガチャピンとタカギはやる気がありません。
特にデブのタカギにはしゃがんで立ってのスクワットの繰り返しともいえるこの苗植えの仕事は辛いでしょう。
うふふっ!
時給だし
しかし時給なので遅かろうが速かろうが関係なしに給料がもらえるので、それでもピッキングよりは良いようです。
などと思っている間に各々が担当するレーンを与えられ、プランティングがスタートしました!
- [置いてある苗を穴にいれて土をかぶせるだけ]
思っていたよりもめっちゃ簡単です!
結局何の苗なのかは知りませんが、植えまくります。
ガンガン進んでいき、気付いたら私が先頭に立っています!
というよりはみんな遅すぎだろ!
クラスに絶対ひとりはいる「マラソン大会でスタートと同時にダッシュして目立ってしまうやつ」のような感じでガンガン進めていきます。
そして苗植えを開始して10分。
相変わらず先頭を行く私を大声で呼ぶ男が⁉︎
Hey!What are you fucking doing!?
(何やっとんじゃコラ!)
Come here fucking Japanese!
(クソジャパニーズこっち来いや!)
ファックという言葉
- [デブボス]
この男はファームの大ボスらしく、トルコ出身の成り金デブです。

人遣いが荒く、汚い言葉でアジア人を罵り、スタッフ全員から嫌われているらしい。
そしてそのデブボスは今まさに私に向かって何かを言っているのですが、遠過ぎてよく聞こえません。
またデブ過ぎて私の所まで歩くことも困難な様子。
「Come here」とうっすら聞こえて来たので、苗植えを中断してデブボスの所へ行ってみます。
お前!テキトーに苗植えすんなよ!
真っ直ぐ垂直に植えろ!
動きが速いからって調子に乗るなよ⁉︎
ファック!これも!あとこれも!
そして3つ先のあれも!
植えなおせ!
ファッキンジャパニーズ!
了解っす!
目つけられちゃった
…うふふふ
どうやらこのデブボスはなんでもいいから誰かになんか言いたいのでしょう。
苗植えのような目をつぶっても出来るような簡単なことをミスするわけありません。
はっきりいって他のレーンを見ても私の仕事と大差ないクオリティです。
初仕事の私が気合いを入れ過ぎて、生意気にも先頭に立ったことにより目立ったためこのようなことが起きたのでしょう。
私は理解し、デブボスに指摘された箇所を修正するフリをして何事も無かったかのように再び持ち場へ戻りました。
するとチャラくて空気は読めないがプライドだけは異常に高い我々のリーダークチヒゲが近づいて来ました。
シンさん(コソコソ)
気にしなくて良いっすよ
あいついつもああなんで
はじめて見る男とかいるとすぐ言うんすよ(コソコソ)
ちょっと目立ったかもだから、少しスピード抑えてみんなと同じくらいのペースでやってOKっす(コソコソ)
どうせ時給だし
別にコソコソ話じゃなくてもトルコ人には日本語分からんだろ、と思いながら私は答えます。
いやだってあいつマジでムカつきません?
すぐ「ファック」て言うんすよ?
何言われても良いけど、一生懸命やってんのにファックとか言われたらやる気無くなるじゃないですか?
うちのスタッフにファックとかいうから俺ムカついちゃいましたね
でも一旦ここはおさえておさえて
(お前のスタッフだという認識ねぇよ)
実際この初仕事日が始まる前から、この短気ですぐキレる嫌われオーナーことデブボスの話はよく聞いていました。
なので私の心境としては「お〜!これが例のやつかぁ!」という有名な観光地に到着した時のような気持ちです。
クチヒゲはファックと言われるとムカつかなきゃいけないと思っているからそうなのです。
大人になってから英語を話しだしたのであればそれはただの思い上がりであり、FUCKという単語の細かいニュアンスまで体に馴染んでいるわけがありません。
ファックと言われてムカついてる感じを出している自分に酔っているだけではないか?と私は思います。
本気の留学や意識高く海外生活を送っている人以外の人たち。
つまりワーホリ民の大半がそうである『ぶっちゃけ遊び半分ワーホリ』の人間の中でも、特に言語能力が高いわけでもないのにかぶれ方だけは一人前の人はこのような傾向にあります。
急ぎやがれこのデブ野郎!
あんたもデブじゃん…
車内青光り系、夜中のドンキホーテの駐車場によくいるタイプのダサ民族の典型例のクチヒゲはまさにそのタイプと言えます。
2時間後。
今日は人数が多かったらしく苗植えの仕事はあっという間に終了。
時給の仕事なのでここから先は時給は発生しません。
ファック!
パプリカのピッキング
全然実がなっていない
めったにないと言われている時給の仕事であるプランティングはたったの2時間で終了。
時給は15ドルとのことなので30ドルで終了しました。
30〜40名いた作業員のうち数名は早くも車に戻り帰宅している様子。
これで終わりだとすると日給30ドル。
仕事にするには厳しい稼ぎですが、どうやらそういう日も珍しくないらしい。
しかしこの日はこれから別の畑に移動して違う仕事あるようなのでそちらへ向かいました。
学校の体育館くらいの広さのハウスに等間隔でビッシリと並んだ高さ2mほどの木々。
これから始まるのはパプリカのピッキングです。
それをこの海外ではお馴染み『キッコーマン醤油バケツ19L』にパンパンに詰めなければなりません。

一面真緑、目を凝らすとたまにチラッと見える小さなパプリカ。
それらをこの大勢で奪い合うようです。
軽くやり方を教えてもらいピッキングスタートです。
全然なっていないパプリカの木をかき分けながら発見してはちぎりを繰り返して少しずつためていきます。
シズちゃんいくつ取れた?
バケツ満タンにするなんて気が遠くなるよね
とその時!
気が狂ったような日本人女性の叫び声が聞こえてきました。
ドン!リムーブステーム!
リッスン!
ドン!リムーブステーム!
アーユースィリー⁉︎
ドンリムーブステーム!
アーー!!!

どうやら
ヘタを取るんじゃない!
ヘタは付けたまま収穫しろ!
お前らは馬鹿なのか?
ヘタ取るんじゃねぇ!
あー!
と言っているようですが、恥ずかしいくらいのカタカナ英語でおそらく誰にも伝わっていないのではないかと思われます。
なんか機嫌悪いんですか?
もともとワーホリだったらしいんだけど…
いつもサボっているタカギは仕事もせずいろんな人たちと喋っているらしく、そこらへんのことに詳しいので彼女のことを教えてくれました。
- 【旅行記140】よりウケツケさん

ワーホリ 女子の闇
キヨミさんはこのファームのスーパーバイザーで、我々とは違い会社に雇用されているようです。
我々チーム・クチヒゲやその他の日本人約40名ほどを束ねているようですが、まともに話したことがある人はほぼいないとのこと。

【タカギ談】
もともとワーホリでピッキングに来ていた彼女ですが、ファームのトップの人間に枕営業を繰り返し不正にセカンドビザをゲット。
しまいにはワークビザまでサポートしてもらっているというとんでもない女です。
しかしビザサポートの裏側ではほぼ給料ももらっていないだとか、年齢も40間近となり今やただのファームのお荷物となっているだとか。
本人は人生に迷い、残酷にも進んで行く時間、増大して行くストレス、そして誰からも愛されなくなり、精神は崩壊。
今や毎日畑で無駄に叫び続けるだけの存在になってしまったようです。
気にすることないっす!
うぃっす!
このような話はじつはよく聞く話で、色仕掛けでファームの責任者へ近づき何の努力も無くセカンドビザをゲットするワーホリ女たちがオーストラリア中にいるようです。
バンダバーグでは大声をあげて怒鳴り散らかす嫌われマネージャーと

それに怯えるわけでもなくただ鬱陶しいと思いながら黙って働く労働者

どうやらこの構図が主流のようで『みんなで仲良くファームでのんびりライフ』みたいなものは望めないということが分かりました。
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バンダバーグの闇
この日はパプリカを4時間収穫して昼の12時に終了。
結局4時間かけて収穫できたのは私もシズちゃんもたったの4バケツ。
1バケツ5ドルなのでパプリカピッキングの収益は20ドルです。
時給換算で5ドル。
早朝の苗植えの30ドルと合わせてこの日の日給は50ドルとなりました。
車代6ドルをクチヒゲ坊主に渡さないといけないので実質44ドルです。
それなりの時間を働いたし、それなりに疲れています。
体感的には「1日の仕事が終わったな!」という気分ですが、稼げたのはたったの44ドルです。
イメージとは違うファーマーの荒々しい性質と、思っていたよりも全然稼げないという事実。
今日もまたバンダバーグの闇を感じたのです。
結構稼げて嬉しい!
え?50ドルで?
バンダバーグの闇は深い…。
バンダバーグの闇は深過ぎます。
ゴールドコーストで決めたバンダバーグ行き。
きっかけは「なんでそんなに評判が悪いのか」が気になったというちょっとした悪ノリでした。
「でもさすがに殺されるわけじゃないしねぇ?」
あまり深く考えずにこのファームに参加したのですが、たった1週間の生活で分かりました。
初日から4連休させられて1日だけ仕事もらってたったの44ドル稼いでまた2連休。
私とシズちゃんはこの7日間、つまり1週間で44ドルずつしか稼げなかったのです。
家賃もかかるし食費もかかります。
これはジワジワと命を削られていることになりませんか?
この日私とシズちゃんは真面目に話合い、決断にいたるのでした。
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