ついに!
念願の初海外!
大興奮!
という気持ちはなく、出国直前まで大忙しだった私は機内で爆睡。
これからフィリピンの格安語学学校へ英語を学びにバギオという町に向かうのですが、そこにたどり着くまでの濃い〜キャラと道中の話です。
前回▼
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個性的なキャラ
富美男
[7月5日成田空港]
チェックインで並んでいたところ、オールバックの60代、上下真っ白の衣類をまとった梅沢富美男のようなおっさんが現れました。
スーツケースふたつにボストンバッグとバックパックという大荷物の富美男は、大御所すぎて私のような一般人に気付いていないのか、私が並んでいる目の前に大荷物を運びガッツリ割り込んできました。
パーソナルスペースを広めに取っていたのでしょうがないかとは思ったのですが、もちろん私のうしろにも大勢が並んでいます。
つまり暗黙の了解で「ここはチェックイン待ちの列だ」という共通認識が皆あって並んでいるわけです。
後列の人々からの鋭い視線がとても痛かった私。
一方で富美男は何ひとつ悪びれる様子がありません。
私の人生において一切記憶する必要のない男。
なんとそんな富美男とマニラ空港の外で再会します。
離婚マダムと息くさオジサン
[機内]
ついに人生初の出国!
席は『16B』
私は三列シートの真ん中でした。
そう思いながら真ん中の席からチラチラ景色を見ていました。
すると私の左側はおそらくフィリピン人のマダムだったんですが、しきりに何か書類のようなものに目を通しています。
察しました。スッと察しました。
それは日本の離婚届の控えのようなものだったのです。
どうやら日本人男性と結婚してその後離婚してしまって帰国しているところだと私は考えました。
なぜならその離婚マダムは日本語の離婚届けと英語の翻訳を交互に見ておもむろに頭を抱えていましたから。
初日からはやくもフィリピンを感じて感動しましたが、そんなことはどうだっていいのです。
そんなことよりも右サイド。
それはそれはとんでもない息の持ち主でした。
お口からトイレのような、ドブのような、豚骨ラーメン屋のようなニオイがすごいのです。
しかもひとりなのによく喋ります。
はぁ〜この席狭いなぁ〜
はぁ〜
くさい!くさすぎますぞ!
「ふ〜」や「は〜」が特に気になりますね!?
はじめての外国に行くのでまだフィリピンに関することはよく知りませんが、日本よりも汚くて不衛生な環境であることは知っているし、もちろんこれからそこで生活を始める覚悟もあります。
旅人としての試練のひとつだと言い聞かせおじさんを傷つけないようにさりげなく鼻をつまむなどして悪臭を凌いでいましたが、最終的にはこのふたりに助けられました。
初めての海外で入国カードの書きかたなんて分かりません。
何かを離婚届けに記入していた離婚マダムからペンを借り、乗務員が横を通るたびに話しかける迷惑な息くさオジサンに入国カードの書き方を教えてもらいました。
彼にはその後またイミグレーションで助けられます。
英語がまったく話せない私のために
と教えてくれて、入国審査ではちんぷんかんぷんな私のうしろについてもらいました。
※2018年現在は30日まで
息くさオジサンがいなければ今の私はないといっても過言ではありません。
バギオまでの5時間の道のり
不安なバス移動
[マニラ・ニノイ・アキノ空港]
空港の外に出るとテレビやネットでしか見たことがなかった、アジアの空港あるある「大量の子供達」に囲まれて感動です。
ものすごい量の人々をかき分けて空港の外へ向かう途中、ひとりだけ圧倒的に色の白い男がもみくちゃになりながらプラカード的な物を持って立っていました。
彼は学校のスタッフで、私のためにそこで30分ほどもみくちゃになっていたそうです。
それはもうハードコアバンドのライブさながら、なぜ人々はなんでもない空港の外であれだけ盛り上がれるのか不思議でした。
そして色白男に連れられハイエースのような車に乗せられます。
どうやらもうひとり同じ便で日本人が来ているらしく、そのもうひとりを待ちました。
色白男と話したり、そこらへんにいるフィリピン人に「ハロー」などと言ってみたりして時間を潰します。
待ち続けること1時間、同じ便なのになぜこんなに待つのか不思議です。
もはや初めての海外なのにこの1時間でだいぶ慣れてきています。
そしてついにその「もうひとり」が大量の荷物とともに現れました。
お気付きでしょう。
富美男です。
はっはっはっ!
さすが大物、悪びれる様子もなく高笑いしています。
なんと彼は私がこれから向かうBaguio(バギオ)の語学学校の入学生だったのです。
つまり同期であります。
英語を学びに来た意識の高い大学生、海外かぶれのやたら露出度の高い日本人ギャル、怪しいバックパッカーなどと知り合って切磋琢磨する語学留学を想像していたのでハッキリ言って残念でした。
そのまま5時間ほどの時間をかけ、運転手、色白男、富美男、私の4人でバギオに向かったのでした。
マニラ空港からバギオへ向かう道中、暇なので空港での割り込みについて話してみました。
うしろには誰もいなかった
終始超大物ぶりを見せつけておられます。
バギオはフィリピンの本島(ルソン島)の北部にある町で、山を登って山を登って山を登ってやっと到着するほど高台にあります。
途中の山道には街灯がまったく無いので真っ暗です。
と不安に思うほど細い悪路の山道を延々と進んでいきました。
しかも初海外、余計に不安です。
マニラやセブみたいな都市ではないことは知っていましたが、これはもはや田舎町とかいうレベルではなくただの森です。
何しに来たんやったっけ…
日本に帰りたい…
不安がピークに達した時、私は外を見て驚きます。
山を何時間も登ってきた先には想像していた何倍もの大きさの街が広がっていたのです。
京急ニュータウンやぁ~!
と横浜のことを一瞬思い出し、ついにバギオの学校に到着したのでした。
同居人は韓国人
[23:00]
次の日のオリエンテーションみたいなやつの説明を受けた後、すぐに5階建のボロいアパートの2階の部屋に通されました。
中は4人部屋で今は韓国人がひとりしかいないとのこと。
いきなりそんな外国人と2人で大丈夫かよ…
恐る恐る中に入ると誰もいません。
どうやら遊びにでも行っているようです。
時間はもう23時。
私もかなり疲れ果てていたので空いてるベッドで横になり目を閉じた瞬間!
ガチャ!とドアが開く音がしたのです!
ヤバい!同居人帰ってきた!
英語で挨拶せな!
英語なんて喋ったことないぞ!
ていうか眠い!
そんなことよりめんどくささのほうがすごい!
明日にしてくれ!
ということで私は寝たふりをしはじめました。
しかし電気をつけられたのを感じてそっと目を開けると、そこには韓国人の顔面が私の顔から40cmほどの距離にあったのです。
バッチリ目があった後にさすがに寝たふりは厳しいため一度起きます。
「Hi I’m Jay」
その韓国人に挨拶され、そこから深夜の自己紹介タイム。
そのジェイという男はなかなかいいやつで、英語もなんとなく分かったのでホッとしました。
バトルロワイヤルに連れて行かれるかも知れないという恐怖と、富美男と同じ部屋だったらどうしようという不安はJayのおかげでなくなり、その晩はぐっすり眠ることができたのでした。
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