セカンドビザを取得すべく西オーストラリア州に渡ってきました。
2nd Working Holiday Visa
通称セカンドビザ。
オーストラリアのワーホリにのみ適用されるシステムで、政府指定の農場や工場で88日以上働くともらえる2年目のワーホリビザのこと。
マーガレットリバーを目指してパースから南下していましたが、その道のりの途中にあるBunbury-バンバリーを異常に気に入ってしまい、この町に住むことを決めてしまいました。
『Wander Inn』という楽しすぎる宿を拠点として、愛車のクライスラーに乗ってファームジョブ探しの始まりです。
前回▼
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おしんぽこの悪い癖
一刻も早く仕事にありつきたいのですぐに仕事探しに行きたいところですが、ただ闇雲に車を走らせても見つかるはずがありません。
まずは情報収集ということで滞在しているワンダーインのメンバーに話を聞きます。
が!しかし!
情報収集のつもりでいろんな人と話しているうちに、どうしても飲み会に発展してしまうという大変な問題にぶち当たったのです!
▼特に仲良くなったのはこのへんです。
バンバリーに到着したのは金曜日でした。
土曜日曜は多くの人たちの仕事が休みだったのでそれはもうみなさんガッツリ私の相手をしてくれました。
ゴクゴク!
バンバリーに到着した日から3日連続のパーティで、仕事探しをすることなく週が明け月曜日。
朝8時ごろ起きると宿には誰もいません。
夢が覚めたような感覚になり、やっと仕事探しをはじめたのです。
Donnybrook-ダニーブルック
当たってマジで砕ける
この日行った場所はDonnybrook-ダニーブルックという小さな町です。
連日の宿泊者同士のパーティで、もはや誰に聞いた情報なのかまったく覚えていませんでしたが、リンゴファームで有名な町らしいです。
バンバリーからは車で30分程で着きます。
クイーンズランドのバンダバーグの時はネットで仕事を見つけました。
それから様々なことを経験しているうちに
という結論にいたったため車を購入してこうやって田舎道を爆走しているのです。
しかし実際にやってみると何をどうすればいいのかさっぱり。
でっかいリンゴの下に「DONNYBROOK」の文字。
どうやら着いたようです。
人口5万人のバンバリーが大都会に感じるほどDonnybrookは小さな街でした。
来てみたのは良いのですが、何をどうしたらいいのか分からなかったため、とりあえず「畑っぽい所」に行ってみました。
町とも言えぬようなDonnybrookの町からさらに南下してみると「Farm」と書かれた看板を発見したので、左折して大通りから中へ入ってみました。
舗装されていない赤土が舞う砂利道をゆっくり進んで行きます。
小さな工場のような場所を発見し、人影を確認したので車を停めて中に侵入。
フォークリフトで板を運ぶ浅黒いおっさんに声をかけてみました。
私ファームジョブを探してるんですけど
滞在時間30秒。
仕事は無いそうです。
当たって砕けろ!
行動あるのみ!
とよく言いますが、実際砕けるとなかなかしんどいものです。
気を取り直して別の場所を探します。
のひとことで片付けられてガラスのハート系バックパッカーの私は早くも心が折れかけましたが、同時に軽く度胸が付いたのでこの調子で次に行きます。
しばらく運転すると今度は右サイドにそれっぽい場所を発見して再び侵入します。
夜の首都高をお洒落にかっ飛ばしてそうなほどイケてる私の愛車クライスラーが通るにはふさわしくないほどのガタガタの農道を進んでいきます。
するとその先で私はまたもや心を折られます。
道路の中央にバケツがブッ刺さっていて、そこにはペンキでおもむろに「No job」と書かれていました。
おそらく私のようにこうやって仕事を探しに来る輩があとを絶たないので、いちいち対応するのがめんどくさかったのでしょう。
Uターンして再び運転しているとあることに気付きました。
道路から見る限り一帯はファームだらけのように見えますが、何の木なのか、野菜なのか果物なのかも分からないほどに実がなっていないのです。
また時間は朝10時ごろなのでまだまだ仕事をしていても良い時間なのに誰も働いていないのです。
私はある男の言葉を思い出しました。
旅行記アジア編の相棒サラサラヘアーのサラ髪君です。
彼は私と知り合う前の2年間オーストラリアでファームジョブのみで生きていた男。
オーストラリア編のスタート時に彼と連絡を取ったのですが
基本夏は南の街で、冬は北に移動すると年中仕事にありつけますよ
と言っていたのです。
今は2月で南半球のオーストラリアでは夏の終盤。
バンバリーは西海岸のめっちゃ南のほうなのでこれからどんどん寒くなっていくはずです。
これはつまり!
私は『職探しの時期』をミスっているのではないか!?
もちろんファームは季節に左右されることくらい噂で聞いていましたが「それでも何かしらの仕事はあるんじゃないの?」と甘い考えでいたのです。
判断と行動は早いに越したことは無いので、とりあえず人の話を聞くために一旦Donnybrookの街中まで戻ることにしました。
パン屋
再び街へ戻ると小さなパン屋を発見。
お腹も空いたので入ってみました。
適当にメロンパンやチョココロネ的なパンを選びレジに行くとアジア人の女の子が出てきました。
英語の発音を聞く限り台湾人か香港人のようです。
もうそろそろ終わるんじゃない?
ここでバイトしてたほうがまだ稼げるんだよね
もし仕事探してるんだったらホステルに行ってみたら?
仕事紹介してる所だからさ
オーストラリアには仕事を紹介してくれる『ワーキングホステル』というものが存在していてパン屋ちゃんに教えてもらった場所もまさにそれでした。
私が拠点にしているバンバリーのワンダーインも掲示板に所狭しと仕事情報が貼ってありますが、こちらはもっと仕事よりでファームのマネージャーがそのままホステルのマネージャーをしているような場所でした。
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ファーム探しは甘くない
なんだかんだで仕事が決まった
さっそくパン屋ちゃんに場所を教えてもらいそのホステルに行ってみました。
彼女にお礼を告げてさっそくそのホステルへ向かいます。
駐車場に車を停めると、アラブ系の男が小屋のような場所から胸を張って肩を左右に揺らし威嚇するように出てきました。
ここの宿泊者か?
車持ちか!こっちこっち!
さっそく名前を登録してくれ!
車持ちか〜!いいね〜
まるで不審者を睨み付けるように現れたその男は私が「仕事を探している」と知った途端、いきなり態度を変えて怪しい笑顔で私を事務所のような場所へ連れて行きます。
一瞬嫌な感じがしましたが、名前を登録してくれとのことなので言われるがままついて行きます。
うちで仕事するならこのホステルに泊まらないといけないんだよ
もちろんいつでもこちらに移動できます
あの〜今って時期的に仕事あるんでしょうか?
今まさにシーズンど真ん中!
今は2月だろ?4月までリンゴでそのあとはオレンジとアボカドだ
ほんと人が足りなくて困ってたんだよ
ぬはははは!
それは良かった
ちなみにセカンドビザの日数カウントは取れますか?
私の『バックパッカーEye』は彼が一瞬目をそらしたのを見逃しませんでした。
セカンドビザのカウントが私としては最重要なのですが、第一印象から若干怪しい男だったのでどうも彼のいうことを信用できません。
まあやればやるだけ稼げるよ!
とりあえずここに名前をかけ!
そして明日から仕事だ!
とりあえず明日の朝4時半にここに集合してお前の車に4人乗せて行ってもらう
じゃあな!
そこまで面倒くさい態度を取られるほど質問攻めをしたつもりはありませんでしたが、お金の話になると機嫌が悪くなるのはアラブ系やインド人の特徴だといえるでしょう。
これはつまりそんなに稼げないと認識して良さそうです。
とりあえず仕事が決まったようなので私は彼に言われるがまま名前と電話番号を記入して事務所を出ました。
仕事が決まり、しかも明日からとのことなので喜ぶべきなのですがどうもスッキリしません。
しかし私にはもう時間が無いのでここでやるしかないのです。
ワーホリ民とサウスウエストのリアル
駐車場に戻ろうとしたところ、ホステルのキッチンのドアが全開になっていたので軽くのぞいてみました。
するとそこには7〜8人の宿泊者がいて、その中に日本人女性がふたりいました。
せっかくなので宿泊者のリアルな声を聞いてみます。
お食事中すんません
おふたりはここに住んでここで仕事を紹介してもらってるんですか?
でもさっき事務所でアラブ人みたいな人が仕事あるし人が足りないって言ってましたけど
みんなうちらみたいに辞めちゃったから
ピッキングのシーズンもそうだけど
いろんな意味で終わってる
4月までリンゴでそのあとはオレンジとアボカドだって…
リンゴは12月から今月いっぱい
オレンジとアボカドなんて聞いたことないわ
部屋も汚いし宿代も高いし
仕事があったとしても別にそんなに稼げないよ
3〜4時間で終わるから1日40〜50ドルがいいとこじゃない?
やめといたら?
やはり私の勘は当たっていました。
この宿全体に漂う不気味で重たい雰囲気。
おそらくこの宿や仕事へのストレスからでしょう。
外はかんかん照りなのにこの宿内だけ土砂降りのような空気の重さです。
宿泊者たちは機嫌が悪いのか、ほとんどの人が無言でパンなどをかじっているだけです。
シーズンも終わりだし、そもそもここ自体が良くないから車持ってる人はみんな先週出てっちゃったんだ
だから何も知らないあなたみたいな人が来たから車要員としてカモにされてんの
まあDonnybrookに限らずサウスウエスト(西オーストラリアの南部)はもうすぐ夏が終わるからみんな北に行ってんじゃない?
ブルームとかカナーボンとか
ブルームやカナーボンは西海岸の北の町。
▼冬が近づいてきたので車持ちのファーマーは北へ向かうそうです。
南半球の2月は夏の終わり。
もちろんこれから収穫になる作物もあるはずなのですが、基本的にファームジョブのシーズンは夏なのでこれからファームジョブを見つけるのはなかなか難しいようです。
ファームにやたら詳しい彼女たちふたりからいろんな情報を教えてもらい、この日は一旦バンバリーへ帰ることにしました。
車に戻ると車内の気温上昇によりパン屋で購入したメロンパンは表面べっちょべちょ、チョココロネはドロドロに解けていました。
いろいろと!
バンバリーのワンダーインに戻る
宿に戻るといつものメンバーやほかの宿泊者が数人仕事から帰っていました。
Donnybrookの宿と比べ物にならないほどこの宿は活気に溢れています。
今日は何してたの?
時期が違うんだってさ
でもまあとりあえず明日から行くことになったから
みんなとは一旦お別れだね
えーーーー!!!!
バンバリー出て行くん?
それはあかんで!
みんなでワイン飲まへんの?
みんな寂しがりますよ!
あんまり良くないって分かったんだったら、ダニーブルックなんてやめときましょうよ!
まぁ…ちょっと寂しいけど
焦ること無いよ!
ここに残ってまた違う仕事を探そう!
俺が全力で手伝う
いってみたーい
やっぱり寂しくなるよね
今度みんなでシンに会いにそこに行こう
この日決めたDonnybrookのファームですが、バンバリーに住んだ未来のほうが眩しいくらいに明るいのは確かなのです。
先ほどのファームの事務所にキャンセルの電話をコッソリかける私でした。
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新たなバンバリー仕事情報を仕入れる
それって…
屠殺工場ってやつですね
すごいグロそう…
私はそんなの絶対無理ですわ
トマトとかみかんとか収穫していたほうがいいな
まさか…
ミートファクトリーありなのかなぁ……。
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