シドニーから始まったオーストラリア編ももう終盤です。
次の目的地は世界一パンチが効いてるあの国なんですが,そこに行く事になった経緯を説明するためにはこの話をしなければなりません。
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CONTENTS
私の体にはタトゥーがある
私が高校生の時に好きだったアメリカのロックバンドのドラマーがタトゥーだらけでした。
それを見た時に素直にカッコイイと思った私は,いつか自分の体にもタトゥーを彫りたいと思うようになったのであります。
そしてその「いつか」は全然遠い未来ではありませんでした。
いつも思い立ったら我慢出来ない性格の私は高校を卒業して福岡で一人暮らしを始めてすぐに胸,肩,足に3つのタトゥーを彫ったのであります。
それから約10年の間に世界各地でいろんなタトゥーを彫るようになったのですが,気付いたら私の体は落書き帳のようになっていました。
会ってみると分かるかと思いますが私は決して人を威圧するタイプの人間ではないので,タトゥーのデザインも可愛いものばかりです。
タトゥーに関してネガティブなイメージを持っていて,幻滅した人も少なからずいらっしゃる事でしょう。
しかし私のブログを読んだ事がある人なら分かるかと思いますが、私はタトゥーを入れる前から関係無しにろくでなしであります。
ろくでもない人間だからこそ後先考えず若い時からタトゥーを入れていたのかもしれませんが、世の中には私と違って全身タトゥーで立派な人もたくさんいるのでどうかその偏見を10%くらい緩めていただきたいと常日頃思う次第であります。
私は自分の体にタトゥーがある事に対して後ろめたさを感じたことはありませんが,日本では派遣バイトに登録出来なかったり等のちょっとした不便さはあります。
しかし海外でタトゥーを気にする人はほぼいません。
警官も教師も政治家もみ〜んなタトゥーがあります。
そして私は世界を旅するバックパッカー。
海外では手も足もタトゥー丸出しで生活しています。
すると自然とタトゥーに興味のある人間が寄って来るのです。
メタルとタトゥー
メタルちゃんという肝臓ぶっ壊れ系・無限酒飲み女子がいます。
彼女と私は良き飲み仲間として昼夜問わず飲酒を共にしていました。
我々が作り出した遊び,ウィスキーボトルのキャップをショットグラスにして交互に飲んでいく「エンドレスウィスキー」という遊びをしていたある日。
タトゥーの話題になりました。
私はこの時「この人は本当にタトゥーを彫りそうだな」と思いました。
私はしょっちゅうタトゥーの事で質問を受けます。
タトゥー彫ろうと思ってるけどやっぱ痛い?
タトゥー彫ろうと思ってるけどどんなデザインがいいかな?
タトゥー彫ろうと思ってるけどどこに彫ったらいいと思う?
▲この人達が実際に行動に移したのを私は見た事がありません。
なぜならこれはタトゥーを彫りたいと言いたい人達だからです。
仕事を辞める辞めると毎日言っている人を見ていつになったら辞めてくれるんだろう?
と思った事はありませんか?
そのタイプと同じであります。
しかしメタルちゃんは違いました。
自分で絵を描いていて,場所もサイズも線の太さも全て決まっていたのです。
上手に彫ってくれる人がいたら今すぐにでもお願いしたいくらいといった状況。
カナダで知り合った大阪さんくらいしかタトゥーのお話が出来る友達がいなかった私はメタルちゃんのタトゥーへの興味を知りとても嬉しくなったのです。
今度バンバリーのタトゥースタジオに一緒に行こう
彫るかどうかは別としてさ
そこのアーティストと話してみよう
すぐ準備するわ!
今日はベロベロですから
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幼稚園レベルの絵画
後日私とメタルちゃんはバンバリーのタトゥースタジオ・Southwest Tattooへ行きました。
How are you guys?
とっても気さくな鼻に牛ピアスのお兄さんが迎えてくれました。
メタルちゃんも私も「このデザインのタトゥーを彫りたい」というものがあって、各々で画像を用意していたのでお兄さんに見せて説明してみました。
※実際の当時のものとは違います
私はこれまで幾度となくタトゥーを彫ってもらってきたのである程度の流れは知っています。
「これと全く同じで」と言われたらもちろん全く同じに近付けるべきです。
しかしこの牛野郎は
と言いながら渡した画像をチラッとだけ見るだけでめっちゃめちゃテキトーに紙に鉛筆で絵を描き始めたのであります。
そして30秒くらいで描きあげた幼稚園児レベルの絵画を恥ずかしげもなく我々に見せながら問題発言。
今日やるか?
ドン引きです。
ドン&引きであります。
もぉ〜
タトゥーは一生体に残るものだし,メタルちゃんにいたっては初めてのタトゥー。
この牛野郎は彼女の初めての男にふさわしくありません!
という事で我々は何もせずその店を出たのでした。
衝撃
その帰り道,ふたりで先程の牛ピアス男の悪口を言いながら帰ります。
いつも通り天気が良いバンバリー。
相変わらず人が少なく静かで平和な田舎の町をふらふら歩いていたのですが,
私はメタルちゃんの何気ない一言に衝撃を受けたのです。
自分でやった方がええやんな
絶対私らの方があいつよりセンスあるで
自分でやった方が…
自分で…
自分で出来るかな⁉︎
やってみたいかも…!
ものすごい衝撃です!
10代の時から体にたくさんタトゥーを入れてきたのにそれまで不思議と一切考えた事がなかった「自分がタトゥーを彫る側になる」という事をなぜかここに来てはじめてやってみたいと思ったのであります!
この衝撃はONEPIECEの5巻でサンジを見た時に「自分も料理人になりたい」と思った時!
Jamiroquaiを聴いて「ベースを弾きたい」と思った時!
電波少年を見て「バックパッカーをやりたい」と思った時!
私のしょうもない人生の中で感じた『やってみたい!』といういくつかの大きな衝撃のひとつとなったのであります。
やってみればええやん!
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共通の目標
いつものごとく思い立ったら止まりません。
私はこの日からタトゥーを彫る人になる事を真剣に考え始めました。
この時はまだ掛け持ちの仕事を始める前で,朝のミートファクトリーの仕事の時間以外はPCにかじりつくようにしてネットで調査を行いました。
道具や技術等のタトゥーに関してのサイトを読み漁り,知識を叩き込みまくって,気付いたらタトゥー用品を一式揃えていたのです。
私はもうちょっと考えてから買うわ
あの衝撃を受けた日以来,なんとメタルちゃんまでもが「彫る側」に興味を持ってしまいました。
もともとお互い絵を描く事が好きで,キャンパスが人間の皮膚に代わるだけなので何の抵抗もありません。
そして毎日毎日タトゥーの話をしているうちに私とメタルちゃんは
彫り師になろう
という共通の目標を追う事になってしまったのでした。
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